目的条文の作り方 | 福岡の就業規則なるほど塾

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就業規則は、労使トラブルから会社を守るアイテムの一つとして上手く機能していく必要があります。法律に強い社労士・行政書士が、あらゆる労使トラブルから会社を守るためのルール作りの方法を伝授していきます。

こんばんは、年度更新、算定調査と毎日あわただしい日々を送っていますが、頑張って書かせていただいております。


さて、法律の条文では、その第1条に目的条文として、その法律の目的や趣旨を言っているものが多いですよね。ほとんどの会社の就業規則も、そのフォーマットに従って、そのトップに目的条文を持ってきていると思います。それでは、就業規則でいう目的条文とは、そもそもいったい何なのでしょうか?


私が見る限り、多くの会社の就業規則が、第1条の目的条文として


「この規則は、従業員の労働条件、服務規律その他の就業に関する事項を定めたものである」


といったような、同じようなニュアンスのことが記載されています。


これはこれでもっともなことを書いてあると思います。


しかし、ここで考えていただきたいことは、「就業規則を整備する真の理由」は何かということです。


私は、このブログを通して、就業規則は「会社の法律」や「労働契約書」として機能すべきものということを言っています。

しかし、これは、何も従業員をルールでガチガチに固めましょうと言っている訳ではありません。


いきなり話は飛びますが、就業規則を整備するところの最終目的は、


「会社の業績を上げて、社会に貢献し、従業員全員が幸せな生活を送ること」


に尽きると思います。


そのためには、会社と従業員、従業員と従業員の間でトラブルなどあってはいけないのです。そのための「法律」であり、また「契約」であるのです。


法律とは何か?それは「会社と従業員が守るべきルール」です。

契約とは何か?それは「会社と従業員との約束事」です。


「みんなでルールはきちんと守りましょうね。」

「お互い約束したことはきちんと守りましょうね。」ということなのです。


それは何のためか?

つまり「会社の業績を上げて、社会に貢献し、従業員全員が幸せな生活を送ること」を実現していくためということになります。


ルールもない、ルールがあっても守らない、お互いの約束事もない、約束事をしても守らないということでは、お互いの信頼関係が構築できないということになります。

だから、会社も従業員も幸せになるためには、ルールを守り、約束事も守り、お互いに信頼関係を築いていく必要があるのです。


そのようなことを、目的条文として文章に落とし込んでいけば良いのです。



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私は、会社の就業規則を作るにあたって、経営者の方に「企業理念」を必ず聞くようにしています。そして、企業理念がある場合は、それを就業規則の目的条文に組み込むことを勧めています。

なぜなら、企業理念の下で、会社と従業員が一丸となって目標の実現を目指していく必要があるからです。


就業規則は、法律で規定しなければならない事項を除いては、公序良俗に反しない限りにおいて、どのような規定をするかについては、基本的に会社側の自由です。要は、公序良俗に反しない内容であれば、何を書いても良いわけです。

目的条文は、就業規則において、従業員の誰もが一番最初に目にする条文です。そこに思いっきり「会社の思い」というものを従業員にぶつけていくのです。

せっかく素晴らしい企業理念があるというのに、もったいないと思いませんか?


もし、特に企業理念が無いという場合であれば、これを機会に企業理念というものを考えてもらっています。これから会社をどのようにしていきたいか、自社の求める従業員像とは何かを考えてもらう良い機会となるからです。


ただ、いきなり「企業理念を考えてください」と言われても、そうそう思いつくものでもありませんよね。


もし、これから企業理念を考えてみるのでしたら、次の三つの視点から考えてみてはどうでしょうか?


1.顧客に対してどのような価値が提供できるのか



2.それによって、自社にどのような社会貢献ができるのか



3.結果、従業員全員が幸福な社会生活を送ることができること


顧客満足(CS)と社員満足(ES)の両方を高めていくという方向で、企業理念というものを考えてみれば、まとまりやすいのではないかと思います。


「ただが目的条文」お思いの方も多いと思いますが、「されど目的条文」なのです。目的条文で、会社が目指す方向性を明確にした上で、就業規則の具体的な中身を考えてみてはいかがでしょうか?