生理痛や避妊に対する効果を期待して、非常に小さい棒を腕に埋め込む「インプラント」について、いくつかブログに書いてきました。
今回新たにインプラントの使用に関するデータが出てきたので、見ていきたいと思います。
対象
2003年から2018年の間にブラジルでENGインプラントを使用した知的障害のある130人。平均年齢20歳(17〜26歳)で、合計369個のインプラントが埋め込まれました。(90人の患者が2回以上のインプラントを受けました)
結果
インプラントの使用期間の中央値は19か月(12.8〜22か月)でした。
インプラント使用中、患者の80%は1ヶ月あたり「出血なし」または「1回以下」の出血に抑えられていました。
53.8%(70/130)は最後の診察前3か月以内に出血がありませんでした。
月経困難症および月経前症候群 (PMS) を経験した患者のうち、それぞれ 79% (64/81) および 82% (54/66) が完全に改善したと報告しました。
早期インプラント除去率は 8.9% (33/369) でした。
望ましくない出血が早期インプラント除去の主な理由でした (除去 33 件中 20 件)。
このように、インプラントによって8割近い確率で生理痛や過多月経が改善し、ほとんど出血しなくなる事がわかります。
一方で、イレギュラーな出血によって、1割前後の方が早期に抜去していることから、生理痛に対して内服するジエノゲストと同様、不正出血の副作用は一定の確率で起きてしまうと言えそうです。
インプラント自体は、まだ日本では認可されておらず、当院でも取り扱いがないのですが、早期抜去が必要になるリスクと数万円かかる費用面を考え合わせて選んでもらう必要があると言えそうですね。