糖尿病の治療薬として非常に効果的なGLP-1受容体作用薬と呼ばれる薬には、体重減少効果も認められるため、中にはダイエット目的でGLP-1を使用している方もおられます。



具体的には、飲み薬のリベルサス、注射のオゼンピック、サクセンダなどがあるのですが、妊娠中の投与によって奇形が生じる可能性があるため、2ヶ月以内に妊娠する可能性のある方には投与できない事になっています。



しかし、実際には妊娠するつもりがない状態でGLP-1を使用している中で、意図せず妊娠する方がいるのも現実です。



そこで、今回は妊娠とGLP-1受容体作用薬に関する報告を見ていきたいと思います。



まず、薬の添付文書から。





https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068673.pdf



このように、人間で使用する量よりも少ない量での動物試験で、流産や骨格異常などの確率が上がったとされています。




では、実際の人間でのデータはどうなのかというと、こちらの報告が見つかりました。







2型糖尿病に罹患した938人の妊娠を調査し、妊娠前後のGLP-1とインスリンへの曝露の結果を比較した報告では、GLP-1を服用している患者で重大な先天異常のリスクが有意に増加しているデータはありませんでした。



ただし、母体の血糖コントロールに関する情報はないため、母体の高血糖からくる先天奇形のリスクによる影響が関係している可能性は否定できませんでした。



つまり、インスリン使用群の方が高血糖の母体が多く、先天奇形の確率が高くなっている一方、GLP-1使用群では高血糖の母体が少ないのに、薬の影響で先天奇形の確率が高くなり、結果として両群とも同程度の先天奇形が生じた、という可能性もあるということです。


また、流産、胎児発育不全、死産、またはその他の様々な合併症に関するデータもほとんどありませんでした。



以上のことから、現時点でGLP-1による妊娠への具体的な悪影響がデータとして示されている訳ではありませんが、それはGLP-1がまだ比較的新しい薬であるために、全体としてのデータが少なすぎるから、とも言えます。



動物試験での結果を踏まえると、やはり人間での使用でも何らかの影響がでる可能性は十分にあるため、妊娠の可能性がある場合には安易にGLP-1ダイエットを利用しないようにしましょう。



ちなみに、私がお勧めしているダイエットは



筋トレ



です。



腹筋や腕立て伏せは、しんどい割には鍛えられる筋肉が小さく、ダイエットとしては効率が悪いので、鍛えられる筋肉が非常に大きいスクワットがオススメ。



私自身も、油断して体重が5kg近く増えてしまいましたが、週に3回程度のスクワットをして、無事体重が減りました。



時々、筋肉をつけて太くなるのを心配する方もいますが、太く見えるほど筋肉をつけるのは相当大変です。


それだけの筋肉が付き始めたら、その時点で体重は減っていますし、使わない筋肉はすぐに衰えていくので、万が一、筋肉で太くなったのなら、筋トレを止めれば大丈夫。



テレビを見ながらでもスクワットはできるので、是非取り入れてみてくださいね。