生理痛の原因として「子宮内膜症」というのがあります。


これは、本来子宮の内側にある「内膜」という組織が、様々な理由で子宮の外側に飛んで増えてしまったり、子宮の壁である「筋層」に入り込んでしまう状況です。


病名で言えば、卵巣が腫れるチョコレート嚢腫や、子宮の壁が腫れる子宮腺筋症というものになるのですが、これらの子宮内膜症とメンタル面での不調との関係について調べた報告を見ていきたいと思います。







この論文では、25歳までに手術で子宮内膜症と診断された女性4,532人と、そのような診断をされていない9,014人を比較して、様々な精神疾患のリスクについて検証しています。


平均年齢は22.9歳、平均追跡期間は20.0年です。


結果

手術により子宮内膜症と診断された方では、


・うつ病: 1.87〜2.57倍


・不安障害: 2.09〜2.40倍


・双極性障害: 1.66〜1.71倍


と、いずれもリスクが高くなっていました。



睡眠障害も追跡期間の最初の10年間で3.83倍とリスクが高く、入院患者さんに限って言えば、アルコール/薬物中毒も2.07倍と高くなっていました。



パーソナリティ障害も、最初の10年間では2.12倍、10年以上では3.08倍と高くなっていました。


うつ病や不安障害は、卵巣以外に内膜症がある場合の方がリスクが高くなっていました。


このように、手術で診断される子宮内膜症では、様々な精神疾患のリスクが高くなる可能性があり、その理由として、内膜症による慢性的な痛みが精神疾患のリスクになるのではないか、とされています。


特に手術で確認されるような内膜症というのは、卵巣だけに止まらず、子宮・卵巣主体の腸なども巻き込んでいる事があり、それによって生理以外でも腹痛が生じたり、排便痛や性交痛と言った痛みの原因になることも。



そのような慢性的な痛みが続くことが、精神疾患のリスクになるのだとすれば、早い段階でピルなどの治療により生理痛をコントロールする事が大切だと言えますね。