生理痛や生理前の調子の悪さ(月経前症候群:PMS)に対する治療としてピルを使う事が多いのですが、避妊目的でピルを使うこともあり、一番最初に飲み始めるのは「生理中から」というのが基本となっています。



ただ、その方法だと、次の生理開始まで待たないといけない、というデメリットがあり、それを補う方法として「ピルを希望したその日から内服する」という方法もあります。



今回は、そんな「希望当日から内服する方法」での避妊効果に関する報告を見ていきたいと思います。





この論文では、ピルを始めとした様々な避妊法を「希望当日」に開始した場合の避妊効果について検証しています。



対象

2015年〜2017年の間にアメリカのクリニックを訪れた3,568人が対象で、72.2%(2,575人)が生理開始から7日以上経過した時点で避妊法を開始する「当日スタート」を選んでいました。



結果

避妊法開始前5日間に避妊しない性行為をしていたのが12.5%(2,575人のうち322人)で、開始前6日〜14日間に避妊しない性行為をしていたのは9.9%(2,575人のうち254人)でした。



妊娠した人数は、


・当日スタート群: 0.4%(11人)

・生理開始から7日目までに開始した群: 0.1%(1人)


でした。


避妊法ごとの1ヶ月目の妊娠率では、経口ピルや腟内避妊リングが最も高く、1.0〜1.2%でした。


当日スタート群のうち、6.8%(174人)は緊急避妊薬も併用しており、そのうちの4人(2.3%)が妊娠していました。


以上のことから、希望当日にスタートする方法は避妊効果も高く、どのような方法であってもいつでも開始するのが効果的、という結論になっています。



日本だと、避妊という目的で希望されることが最も多いのは低用量ピルになるのですが、生理開始まで内服を待っている間に妊娠してしまうリスクを考えると、希望した時点で内服を開始する方法も十分考慮して良さそうですね。