以前、子宮頸部の中等度異形成についてのブログを書きました。


以前のブログで見たデータでは、127人の方を対象に2年間フォローしていて、72%の方が改善、HPV16型が陽性の方では、改善が51%、悪化が47%という結果でした



HPV16型が陰性の場合では、改善が83%、悪化が16%と、HPV16型の有無で、かなり経過が違うことがわかったのですが、今回新たにデータが出てきたので見ていきたいと思います。







対象


1998年から2020年にかけて、デンマークで中等度異形成のフォローを受けた18〜40歳の女性11,056人


以前に中等度異形成以上の診断を受けたり円錐切除と言った治療を受けた事のある人は除外されています。



結果


11,056人を2年間フォローしたところ、6,767人(62.9%)が改善し、3,580人(33.3%)が悪化していました。


改善も悪化も90%は最初の1年間の間に起きていました。


細胞診検査で正常と出た方に比べて、中等度異形成以上が疑われた方では、悪化する確率が1.58倍でした。


年齢で比較すると、悪化するリスクは30〜40歳と23〜29歳で同等でした。




以上のことより、中等度異形成では自然に軽快する確率が高いため、特に細胞診検査で中等度異形成以上を疑われていない方においては、円錐切除ではなく、しっかりと定期的に経過を追っていく事が大切と言う結論になっています。



この論文では、HPV感染の有無に関する評価がなかったのですが、先日のブログで紹介した論文ではHPVの型によるリスクが示されており、その側面での評価も必要になってくるかと思います。



実際には、6割が改善するとは言っても、3割が次の高度異形成に進む、という確率から、中等度異形成の段階で治療を希望される方も多くなっています。




円錐切除では、将来妊娠した時に早産リスクが高くなったり、病院によっては入院が必要になったりするのですが、レーザー蒸散という方法であれば、妊娠に対する影響もなく、外来にて治療可能なので、そちらを選ばれる事が多いです。




高度異形成であれば、積極的に治療していく対象となるのですが、中等度異形成に関しては良く相談してもらって方針を決めていく事が大切ですので、もし中等度異形成の診断が付いた場合には、かかりつけでしっかり相談するようにして下さいね。




最も大切な事として「中等度異形成は自然に良くなる確率も高いから放置しておく」という事だけは避けてください。



高度異形成で見つけていればレーザー蒸散や円錐切除など、限られた部分の治療だけで済んでいたのに、放置していたせいで高度異形成より進んでしまい、子宮や卵巣を摘出したり、放射線治療や抗がん剤が必要になったりする事がありますから、、、