先日、当院でのクラミジア検査陽性率を調べてみたのですが、検査した方のうち10〜15%程度の方が陽性に出ている、という結果でした。
クラミジア感染は、全くの無症状から下腹部痛、おりもの増加など、症状の出方は様々なのですが、感染期間が長くなると、卵管という部分にも感染してしまい、将来的な不妊症に繋がる可能性が出てきます。
そこで、今回は過去のクラミジア感染を調べられる血液検査と、体外受精による妊娠率の関係について見ていきたいと思います。
対象
過去にクラミジア感染した事がある151人(Aグループ)と、過去にクラミジア感染した事がない302人(Bグループ)が、それぞれ合計220回、440回の体外受精を行いました。
クラミジアに感染した事があるAグループでは、明らかに卵管閉塞の確率が高かったものの、体外受精での成熟卵胞を得られる確率や移植率に明らかな違いは認めませんでした。
1回の体外受精毎の出産率は、
Aグループ: 36.7%
Bグループ: 34.9%
と、ほぼ同じ結果でした。
流産率や異所性妊娠率も同等でした。
以上のことから、過去にクラミジアに感染していたとしても、体外受精による妊娠への影響はあまり考えなくても良い、という事が言えそうです。
クラミジア感染は卵管が閉塞するリスクになり得るため、自然妊娠や人工授精に対する影響を考慮する必要が出てきますが、体外受精では既に受精している受精卵を子宮内に戻すことになるため、クラミジア感染の影響が出ない、ということですね。