先日、亜鉛と不妊症の関係について調べていたら、思いがけず家庭用殺虫剤が不妊のリスクになっているような論文が出てきました。









そこで、今回はもう少し不妊症と殺虫剤の関係について見ていきたいと思います。








この論文では、妊娠前の殺虫剤への暴露と妊娠成立までの期間や不妊との関係を上海でのデータで検証しています。



対象

妊活中の女性615人を1年間フォローしました。


妊娠前の殺虫剤への暴露については、尿中のオルガノホスフェートとピレスロイドの代謝物を計測して評価しています。




結果

オルガノホスフェートの代謝産物であるジエチルチオホスフェートの濃度を4段階に分けて検討すると、最も高濃度の群では、最も低濃度の群と比較して、妊娠までの期間が明らかに長く、不妊症のリスクが2.03倍となっていました。



ピレスロイドの代謝産物である3-フェノキシベンゾ酸についても、最も高濃度の群では最も低濃度の群と比較して、妊娠までの期間が長く、不妊症のリスクも高くなっていました。



特に妊娠経験のない方においては、妊娠率が0.72倍、不妊症の確率が2.03倍と高くなっていました。



このように、殺虫剤の成分が不妊症に影響を与えている可能性がある、という結論になっています。



ここで取り上げられた「オルガノホスフェート」は有機リン系の殺虫剤であり、「ピレスロイド」はピレスロイド系殺虫剤として、家庭用の害虫駆除によく使われているものになります。




いずれの殺虫剤も、その代謝産物の量によってリスクが変わるようですので、絶対に使ってはいけない類のものではありませんが、もし家庭で使う場合には、必要最低限にしたり、できるだけ妊活中には関わらないような手段がいいのかも知れません。