以前、避妊のために使うインプラントという方法についてブログを書きました。



腕の内側にホルモン剤が染み込んでいる数センチの棒=インプラントを埋め込んで、かなりの高確率で避妊できる、というものになります。



このインプラントに含まれるホルモン、分類で言えば「黄体ホルモン」というものになるのですが、同じ「黄体ホルモン」が含まれているミレーナというものは、避妊だけでなく生理痛の改善にも効果的な事がわかっています。


(ミレーナは、外来で子宮の中に挿入する数センチの棒になります)



そこで、今回はインプラントが生理痛に対して効果があるかどうかを調べてみました。







この論文では、子宮内膜症に関連した痛みに対して、インプラントとミレーナの効果を比較しています。


対象

子宮内膜症による慢性的な骨盤痛や月経困難症が6カ月以上ある103人の女性。深部内膜症では、経腟超音波やMRIで評価しています。


生理開始日から5日以内にインプラント、もしくはミレーナを挿入しています。



結果

インプラント、ミレーナ両群ともに慢性骨盤痛や月経困難症から来る痛みスコアの改善率は同等でした。


また、その他のQOLに関するスコアについても、どちらの方法でも同等の効果でした。挿入後180日での出血パターンでは、無月経や少量の不正出血が最も多くなっていました。



以上のことから、生理痛に関する効果として、インプラントはミレーナに劣らないという事が言えそうです。



そう考えると、生理痛対策と避妊の両方の目的として、ミレーナもインプラントも同等に考えて良さそうですね。



まだ日本国内ではインプラントは未認可のため、何か副作用が起きた際の治療が全て自費になり得ることや、国からの補償が全くない、というデメリットはありますが、治療としての効果は非常に期待ができる、と言えそうですね。