以前、妊娠中にサイトメガロウィルスに感染した場合の治療に関するブログを書きました。
早いもので、もう3年も前の記事になるんですね、、、
まず、改めてサイトメガロウィルスによる妊娠への影響を説明したいと思います。
サイトメガロウィルスは小さいお子さんの尿や唾液に含まれていることがあり、そういった尿や唾液から妊婦さんに感染すると、お腹の中の赤ちゃんに影響が出る可能性があります。
そのため、予防のためには、食べ残しを食べないことや、尿や唾液に触れた場合には手洗いする、などの対策が必要になってきます。
現時点では妊婦さんがサイトメガロウィルスに感染した場合の治療薬がないため、予防を心がけることが大切なのですが、今回は治療効果が期待できる薬について、見ていきたいと思います。
3年前にブログを書いた時には、90人ほどを対象としたバラシクロビルという薬の論文だったのですが、今回は更に人数が増えて、3つの論文に含まれる527人が対象になっています。
妊娠成立前後や妊娠初期にサイトメガロウィルスに感染した妊婦さんに、1日8gのバラシクロビルを内服してもらったところ、羊水中へのサイトメガロウィルス感染が0.34倍に減っていました。
感染時期で比較しても、妊娠成立前後の感染は0.34倍、妊娠初期の感染は0.35倍と、ほぼ同じ程度の効果が認められました。
また、新生児感染に関しても、妊娠成立前後の感染でも妊娠初期の感染でも0.30倍と、感染予防効果が認められました。
サイトメガロウィルス感染による重篤な所見により中絶するリスクも0.23倍となっていました。
バラシクロビルによる重い副作用は2.1%に認められました。
以上のことから、1日8gのバラシクロビル経口内服によって、サイトメガロウィルスによる感染を約3分の1に減らせる可能性があると言えそうです。
現時点では妊娠中のサイトメガロウィルス感染に対する効果的な薬が認められておらず、今回のように一体の効果が期待できる治療薬というのは、非常に待ち遠しいものがあります。
実際に治療薬として認可されるまでには年単位の時間が必要になってくると思われるため、それまでは手洗いや食べ残しを食べない等の予防を心がけていきましょう。