以前、経口中絶薬として、ミフェプリストンとミソプロストールという薬についてのブログを書きました。
この2種類の薬のうち、ミフェプリストンは日本未発売なのですが、これが生理痛にも効くのではないか、という論文が出た来たので、見ていきたいと思います。
この論文では、生理痛の原因の一つである「子宮腺筋症」に対してミフェプリストンが効くかどうかを検証しています。
対象
子宮腺筋症による痛みのある134人
方法
ミフェプリストンを1日10mg内服する群と、プラセボ(何の治療成分も含まれていない粒)を内服する群に分かれてもらい、12週間治療しました。
結果
平均年齢
ミフェプリストン: 40.2歳
プラセボ: 41.7歳
痛みの強さ(10段階で評価)
ミフェプリストン: -6.63
プラセボ: -0.95
月経困難症の軽快割合
ミフェプリストン: 91.8%
プラセボ: 23.1%
月経困難症の完全軽快割合
ミフェプリストン: 88.5%
プラセボ: 6.2%
貧血の値(ヘモグロビン濃度)
ミフェプリストン: +2.13g/dl
プラセボ: 0.48g/dl
CA125(生理痛の強さとある程度相関する腫瘍マーカー)
ミフェプリストン: -62.23
プラセボ: +26.89
子宮の体積
ミフェプリストン: -29.32㎤
プラセボ: +18.39㎤
薬の安全性評価では、どちらの群にも違いはなく、重篤な副作用は報告されませんでした。
以上のように、子宮腺筋症の治療としてミフェプリストンはかなり有効な治療法である可能性がありそうです。
子宮腺筋症は、子宮そのものが大きくなる病気で、何も治療をしなければ基本的には年単位でどんどん進行し、生理痛は強くなって、生理の量も非常に多くなってしまいます。
現在の治療法としては、ピルやディナゲスト、ミレーナ、閉経状態に持ち込むGnRHといった外来治療から、腺筋症の部分だけを取り除いたり、子宮そのものを摘出する手術療法まで、様々な選択肢があります。
ピルやディナゲスト、ミレーナでコントロールできればいいのですが、GnRHだと保険が効いても月に1万円、、、おまけに、人によっては更年期症状で困ることも。
そういう中で、重い副作用がなさそうなミフェプリストンという選択肢が増えてくれるのは、非常にありがたい話になります。
ミフェプリストンそのものが日本に入ってきてないため、生理痛に対して使える日はまだ先になりそうですが、早く認可されて日本でも使えるようになって欲しいですね。