以前、子宮筋腫に対して超音波を当てて治療する、という方法をご紹介しました。





この集束超音波という治療法、婦人科領域では子宮筋腫だけだと思っていたのですが、今回子宮頸部の異形成に対しても治療効果が期待できる、という論文が出てきたので、見ていきたいと思います。







この論文では、CIN2: 中等度異形成と、CIN3: 高度異形成の患者さんを対象に超音波治療を行なっています。



対象


2019〜2020年にCIN2/3と診断された29人。超音波治療に合わせて、REBACINというHPVに対する抗ウイルス薬も使用しています。



結果


異形成の治癒率

 治療7ヶ月後: 82.8%

 治療1年後: 96.6%


HPVが検出されなくなる確率

 治療6ヶ月後: 72.4%



治療中・治療後の副作用は軽いものしかありませんでした。




CIN2とCIN3で結果がどれくらい違うのかがわからない点や、対象となったのが29人と比較的人数が少ない点はありますが、比較的副作用が少なく、高い治療効果が期待できる、と言えそうです。







先ほどの論文では、CIN2/3と中等度/高度異形成を対象に治療していましたが、こちらの論文では、CIN1: 軽度異形成を対象にしています。



対象


平均年齢38歳、CIN1の患者さん30人。そのうち、28人がHPV陽性で、19人がハイリスクのHPVでした。



結果


治療後2ヶ月間は性行為や入浴、水泳を控えるようにしてもらってフォローしたところ、治療後2週間ほどで中等度のおりものと、少量の出血を認めました。


治療3ヶ月後に検査したところ、30人のうち27人(90%)が正常化していて、3人は継続してCIN1でした。


HPV感染については、28人のうち24人が検出されなくなっており、1人は別のタイプのHPV感染陽性、3人は継続して同じタイプのHPV感染が認められました。




この論文内で実際の治療の詳しい部分も記載されているのですが、通常のがん検診のように内診台に上がってもらい、治療部分に超音波のためのゼリーを塗ります。



そして、超音波の機械を治療部分に当てて、1秒間に5〜10mm程度のスピードで動かしていき、合計で2〜3分かけて治療する、という流れのようです。




以上が異形成に対する超音波治療のデータとなります。


いずれも30人程度と人数は少ないものの、思い副作用もなく、治療時間も短く済んでいる為、非常に有用な選択肢のように感じました。



ただ、残念ながらまだ日本では未承認の治療、、、



今までブログで異形成に対する様々な治療法を取り上げてきたのですが、日本では利用できないものばかりと、非常に残念な状況が続いています。



様々な選択肢が日本でも認められるといいのですが、、、