以前、異形成に対する治療として「亜セレン酸ナトリウム」という薬についてのブログを書きました。




今回は、また別の薬で「二酸化珪素とクエン酸ナトリウム」を使ったデータを見ていきたいと思います。









子宮頸がんの原因となるHPVというウィルスは、8〜9割が一時的な感染で、2年以内には自然に消えるのですが、持続感染した場合に子宮頸がんになるリスクとなってきます。



そこで、この論文では、二酸化珪素とクエン酸ナトリウムを合わせたジェルの効果を検証しています。



このジェルを6ヶ月使用した結果では、80.9%の細胞診(ASC-US、LSIL、ASC-H、HSIL)が改善しました。



ハイリスクHPVは53%が3ヶ月後には消失した一方で、未治療群では、3ヶ月後には78.3%から83%にやや増える結果でした。



p16/Ki67という蛋白(これが陽性だと将来的に癌になるリスクが高いのではないかという研究が進んでいる物質)は、ジェルを半年間使うことで75%から5.3%に減少していました。



未治療群では、91.5%から75.2%に少し減少する程度でした。




以上のことから、二酸化珪素とクエン酸ナトリウムを合わせたジェルを使う事で、子宮頸部細胞診の異常を改善し、ハイリスクなHPVを除去できる可能性があると言えそうです。




以前の「亜セレン酸ナトリウム」を使ったジェルも、今回の二酸化珪素を使ったジェルも、日本では発売されていないため、それを使って治療することが出来ないのが現状です。



異形成に対する様々な治療の選択肢が日本にも増えてくれるといいのですが。。。