赤ちゃんの先天奇形の一つに「二分脊椎」というものがあります。
背中を走っている神経が体の外に露出してしまうために、出生後に歩行障害や尿失禁などの症状が出るのですが、妊娠前から葉酸サプリを内服することで、そのリスクを下がることができるので、妊娠前からの葉酸サプリが勧められています。
そこで、今回は「二分脊椎」の治療法として、二つの手術方法を比較した論文を見ていきたいと思います。
この論文では、二分脊椎の治療として、妊娠中に子宮を切開して手術する「オープン」と、内視鏡を併用する「ハイブリッド」を比較しています。
対象
2011年から2021年までに二分脊椎の手術を受けた146人の胎児。
102人がハイブリッド、44人がオープンにて手術を受けていました。
結果
手術を受けた週数
・ハイブリッド: 25.1週
・オープン: 24.8週
母体BMI
・ハイブリッド: 25.4
・オープン: 27.1
手術時間
・ハイブリッド: 250分
・オープン: 164分
外科的治療を要する合併症の割合
・ハイブリッド: 4.9%
・オープン: 43.2%
母体の合併症スコア
・ハイブリッド: 8.7
・オープン: 22.6
出産週数
・ハイブリッド: 38.1週
・オープン:35.8週
以上のことから、ハイブリッドの方が手術時間は長くなるものの、より少ない合併症で、より妊娠週数が長くできる可能性があると言えそうです。
実際に日本でどのような治療が行われているのか調べたところ、まだハイブリッドにて行う手術は全国でも2か所の病院でしか行われていない治験の段階のようです。
もし、妊婦健診中に二分脊椎を指摘されて手術が必要となった方は、一度主治医の先生と相談してみて下さいね。
また、繰り返しになりますが、予防のためには、「妊娠前」から葉酸サプリを飲む必要があります。
妊娠がわかってからでは遅いので、早めに内服するようにして下さいね。