子宮頸がん検診で「要精査」が出た時に「異形成」という結果が出ることがあります。


この「異形成」という状態については、以前のブログで説明したのですが、今回は、その異形成の中でも「中等度」にあたるものについて説明していきたいと思います。











子宮頸部異形成は、軽度・中等度・高度の3段階に分かれており、高度は癌に近いために治療適応、軽度は自然に治る確率が高いため経過観察となっています。


中等度に関しては、25歳以下だと治癒率が高く、癌になるリスクが低いことがわかっているのですが、25歳以上に関してはやや癌のリスクが高くなってきます。


そこで、この論文では、2530歳の中等度異形成について、2年以上経過観察した場合の経過と、HPV16型の関係について検証しています。



子宮頸がんは、そのほとんどがHPVというウィルスが原因と言われており、様々な型の中でも16型は癌になる確率が高いことが指摘されています。



対象となったのは、2017年から2021年にかけて中等度異形成と指摘された2530歳の127人の女性です。


病変が治癒、もしくは高度異形性や癌になるまで6ヶ月ごとに組織診を行いました。



2年間のフォローの結果、72%の方が中等度異形成から改善していましたが、HPV16型が陽性の方では、改善が51%、悪化が47%でした。



HPV16型が陰性の場合では、改善が83%、悪化が16%と、HPV16型の有無で、かなり経過が違うことがわかりました。




HPV16型の有無に関わらず、改善や悪化のほとんどが15ヶ月以内に起きていました。




以上のことから、2530歳での中等度異形成では、HPV16型が陰性の場合は15ヶ月間の経過観察が推奨され、HPV16型が陽性の場合にはその時点での治療も考慮するべきだ、という結論になっています。







現在の日本のガイドラインでも、中等度異形成では、HPV16型のようにハイリスク型が陽性の場合には3ヶ月ごと、ハイリスク型が陰性の場合には半年ごと、と言ったようにリスクが分けられています。



また、中等度異形成の場合は、長期間続いたり、フォローのための通院が難しい場合には、その時点で治療適応になる事もあるので、心配な方はかかりつけで相談してみてくださいね。