以前、帝王切開の傷をどのように縫うのがいいのかをブログに書きました。


結論としては、ステープラーという医療用ホッチキスを使うと、やや感染率が高い、と言うものでした。



今回もまた帝王切開の皮膚をどのように縫うかについて比較した論文を見ていきたいと思います。








この論文では、帝王切開の皮膚を吸収糸で縫った場合と、ステープラーを使った場合を比較した複数の論文をまとめて比較しています。



もともと、帝王切開の皮膚はステープラーより吸収糸で縫った方が合併症が少ないと言われているのですが、一部の論文で、妊婦さんが肥満だとステープラーの方が良い、というデータが出ていました。



そこで、肥満の方も含めて、吸収糸とステープラーのどちらが良いのかを検証したものが、今回の論文になります。




まず、10の論文で比較したところ、縫合部の合併症は、


吸収糸: 1497人のうち71人

ステープラー: 1465人のうち194人


と、吸収糸の方が0.47倍リスクが低い結果でした。



また、縫合離開(傷が開いてしまうこと)の確率を比較した11件の論文では、


・吸収糸: 1319人のうち55人

・ステープラー: 1273人のうち129人


と、吸収糸の方が0.43倍リスクが低い結果でした。



肥満の方に限定して比較した5件の論文で、縫合部の合併症を比較したところ、


・吸収糸: 507人のうち34人

・ステープラー: 522人のうち67人


と、吸収糸の方が0.51倍リスクが低い結果でした。




以上のことから、ステープラーを使うより、吸収糸を使った方が、肥満の方も含めて、縫合部の合併症の確率を約半分にできるということが言えそうですね。