今回は妊婦健診の中でチェックする項目の一つである「胎盤の位置」に関する論文を見ていきたいと思います。






この論文では、2012年から2020年にかけて出産した妊婦さんを対象に、胎盤の位置と生まれた赤ちゃんの体重、合併症、出産方法の関係について調べています。




対象となった12,306人の妊婦さんのうち、11,608人(94%)は胎盤が子宮の中心(前、後、子宮底)に付いており、698人(5.6%)は胎盤が子宮の側方に付いていました。




胎盤が側方に付いている群では、前回と今回の帝王切開、器械分娩、早産のリスクが高くなっていました。



早産となるリスクは、胎盤が側方にあると1.36倍、母体が高年齢だと1.02倍となっていました。



出産方法が帝王切開となるリスクは、胎盤が側方にあると1.22倍、母体が高年齢だと1.07倍、経産婦さんだと0.32倍、前回帝王切開だと12.0倍となっていました。



以上のように、胎盤が側方に付いていると、早産や帝王切開となるリスクが少し上がると言えそうです。



もともと子宮そのものが左右の血管から栄養されているため、胎盤が左右どちらかに寄っていると、栄養される血流が少なくなり、様々なリスクになる可能性が考えられますね。




妊婦健診の中で胎盤が低い位置にある「前置胎盤」では、出産時の出血量が非常に多くなったり、出産後に胎盤が剥がれない「癒着胎盤」のリスクが上がったりして、非常に注意してみないといけない部分になるのですが、胎盤が側方に付いている場合も、ややリスクが高い状態である、と言えそうです。