一般的に初めて帝王切開する時には、赤ちゃんの成熟を待って、妊娠38週や39週で予定を組む事が多いのですが、今回は2回目以降の帝王切開で、どのタイミングで予定を組むかについて、論文を見ていきたいと思います。










この論文では、過去に2回以上帝王切開をした妊婦さんに対して、370日から396日までの予定帝王切開と、陣痛がくるまで待つ方針とで、母体・新生児のリスクがどうなるか検証しています。



対象となったのは、20124月〜20193月までのカナダで出産した26,522人の女性です。


多胎妊娠や、赤ちゃんに大きな奇形がある場合は検証から外されました。




母体のリスクに関しては、陣痛が来るまで待つのと、370日から386日の間に予定帝王切開するのと、同等でした。




しかし、390日から396日で予定帝王切開とすると、母体のリスクは0.51倍と約半分になっていました。



新生児リスクに関しては、37週台の予定帝王切開により1.68倍のリスクとなるものの、380日から396日での予定帝王切開では、陣痛が来るまで待つ場合と、ほぼ同等のリスクでした。





自然に陣痛がきて、緊急で帝王切開が必要になる確率は


38週以前: 6.5%


3839: 21.7%


3940: 32.6%


と、週数が進むにつれて高くなっていました。




以上のことから、2回以上帝王切開をしている場合は、38週台で帝王切開をするのが、母体・新生児リスクと、緊急帝王切開となるリスクを考えた時に、最もバランスが取れた選択肢になるという結論になっていました。






論文上は38週台だと2割近い人が緊急帝王切開となっていて、それはそれでリスクが高いようにも感じます。




というのも、こういったデータが出てくる海外と比べて、日本の産婦人科医療というのはスタッフの数が非常に少なく、あまりに緊急帝王切開が多くなると、スタッフの負担が大きくなりすぎ、システムが破綻してしまう可能性があるからです。




そのため、今回のデータに関しては、それをそのまま日本にも当てはめられるものではない、という注意は必要になります。




そう言ったことも含めて、実際に帝王切開する時期というのは、病院ごとに様々な事情があり、そこで相談して決めてもらう必要があるので、そのあたりはしっかりと相談してみて下さいね。