一般的に初めて帝王切開する時には、赤ちゃんの成熟を待って、妊娠38週や39週で予定を組む事が多いのですが、今回は2回目以降の帝王切開で、どのタイミングで予定を組むかについて、論文を見ていきたいと思います。
この論文では、過去に2回以上帝王切開をした妊婦さんに対して、37週0日から39週6日までの予定帝王切開と、陣痛がくるまで待つ方針とで、母体・新生児のリスクがどうなるか検証しています。
対象となったのは、2012年4月〜2019年3月までのカナダで出産した26,522人の女性です。
多胎妊娠や、赤ちゃんに大きな奇形がある場合は検証から外されました。
母体のリスクに関しては、陣痛が来るまで待つのと、37週0日から38週6日の間に予定帝王切開するのと、同等でした。
しかし、39週0日から39週6日で予定帝王切開とすると、母体のリスクは0.51倍と約半分になっていました。
新生児リスクに関しては、37週台の予定帝王切開により1.68倍のリスクとなるものの、38週0日から39週6日での予定帝王切開では、陣痛が来るまで待つ場合と、ほぼ同等のリスクでした。
自然に陣痛がきて、緊急で帝王切開が必要になる確率は
38週以前: 6.5%
38〜39週: 21.7%
39〜40週: 32.6%
と、週数が進むにつれて高くなっていました。
以上のことから、2回以上帝王切開をしている場合は、38週台で帝王切開をするのが、母体・新生児リスクと、緊急帝王切開となるリスクを考えた時に、最もバランスが取れた選択肢になるという結論になっていました。
論文上は38週台だと2割近い人が緊急帝王切開となっていて、それはそれでリスクが高いようにも感じます。
というのも、こういったデータが出てくる海外と比べて、日本の産婦人科医療というのはスタッフの数が非常に少なく、あまりに緊急帝王切開が多くなると、スタッフの負担が大きくなりすぎ、システムが破綻してしまう可能性があるからです。
そのため、今回のデータに関しては、それをそのまま日本にも当てはめられるものではない、という注意は必要になります。
そう言ったことも含めて、実際に帝王切開する時期というのは、病院ごとに様々な事情があり、そこで相談して決めてもらう必要があるので、そのあたりはしっかりと相談してみて下さいね。