新型コロナのデルタ株がひと段落したかと思ったら、今度は南アフリカで新たな変異株が発見されて、なかなか落ち着かない状況ですが、今回はデルタ株と妊娠に関するデータが出てきたので、ご紹介したいと思います。
こちらの論文では、2020年3月から2021年5月をデルタ前、2021年7月から8月までをデルタ期として、新型コロナ感染と妊娠に関するアラバマ大学病院でのデータを検証しました。
デルタ前が224人、デルタ期が69人、合計293人の妊婦さんが新型コロナに感染していました。
デルタ前にワクチン接種していた人はおらず、デルタ期にワクチン接種していた人は3%でした。
他の施設からアラバマ大学病院のICU(集中治療室)に転院したのは、デルタ前:75%、デルタ期:70%と、ほぼ同じでした。
2021年8月には入院/ICUに入った人数が最大となり、入院人数に占めるコロナ陽性患者は、デルタ前が平均3%だったのに対し、デルタ期には15%にまで達しました。
重症度で比べてみると、
重症/致死的な状況 13% vs 36%
ICU入院率 8% vs 29%
とデルタ期の方が重症度が高くなる傾向にありました。
コロナ感染で入院中に出産したデルタ前: 91人、デルタ期: 28人で比較したところ、
帝王切開率: 28人(31%) vs 17人(61%)
早産率: 30人(32%) vs 22人(73%)
NICU入院率: 37人(44%) vs 20人(74%)
と、いずれもデルタ期の方がリスクの高い結果となっていました。
このように、妊娠中の新型コロナ感染に関しては、デルタ株はよりリスクが高くなる可能性があると言えます。
幸い、デルタ株は収束傾向にありますが、再度感染拡大する可能性もあり、また重症化リスクに関してはわからないものの、感染力の高そうなオミクロン株も出てきていますので、引き続き感染対策は続けていきましょう。