先日、出産経験のない方にミレーナを入れた話を書きました。




そこで、今回は出産後、比較的早期にミレーナを入れる際の合併症について説明したいと思います。



産後早期では、赤ちゃんが産まれた産道として、子宮の出口が比較的広がっているため、ミレーナは非常に入れやすい時期になります。



その一方で、妊娠中の子宮というのは非常に柔らかくなっており、産後直後のミレーナ挿入にあたっては、ミレーナが子宮の壁を突き抜けてしまう「穿孔」という合併症にも注意しなくてはなりません。




こちらの論文では、24,959人の女性を対象に産後早期のミレーナ挿入による合併症を検証しています。



ミレーナ挿入時期としては、産後4〜8週が13,180人、産後9〜36週が11,777人です。



合併症としては、157人が子宮穿孔、273人が自然脱落しました。



子宮穿孔するリスクとしては、産後早期の4〜8週が0.78%、9〜36週が0.46%と、産後早期に挿入する方が約2倍のリスクとなっていました。




具体的な週数で比較すると、産後22〜23週までは穿孔のリスクが上がっていきました。



一方で、自然脱落のリスクは、どちらの群でも1%前後と変わりませんでした。




以上のことから、子宮穿孔のリスクを考えると、産後9週以降がより安全なものの、産後に生理が再開する前に妊娠する可能性もあり、産後4週以降からミレーナを挿入するのも選択肢としては考えられることになります。



ミレーナの説明書である添付文書には産後6週からミレーナを入れられることになっているため、しっかりと避妊したい方や、もともと生理痛が辛かった方は、産後早い段階で一度婦人科で相談してみて下さいね。