先日、子宮筋腫の治療法の一つとして「飲み薬」を紹介したのですが、今回はまた別の治療法をご紹介したいと思います。


今回ご紹介するのは「集束超音波治療」という治療法で、普段の超音波検査で使っている超音波を治療用に集中的に照射し、子宮筋腫の組織を焼いてしまう、という方法になります。


かなり特殊な治療法で、できる病院が限られてしまうのですが、お腹を切らずに子宮筋腫を縮める事ができるため、手術は出来るだけ避けたい、という人には一つの選択肢となります。

手術以外の治療法として、今回説明する「集束超音波治療」と、子宮を栄養している血管を詰めてしまって筋腫を縮める「子宮動脈塞栓術」というのが、手術を避ける治療法として挙げられます。

ただし、子宮動脈塞栓という治療法は子宮そのものに対する影響があり、将来的に妊娠を考えている場合には、選びにくい治療法となっています。

そこで、今回は妊娠を考えた場合の「集束超音波治療」についての論文をご紹介したいと思います。


こちらの論文では、内視鏡で子宮筋腫を摘出した場合と集束超音波治療をした場合で、妊娠に対する影響を調べています。

対象となったのは、子宮筋腫による症状があり、妊娠希望のある676人です。


平均して5年間フォローしたところ、320人が集束超音波治療を受けて、336人が子宮筋腫摘出術を受けました。


その結果、集束超音波治療法では219人(68.4%)が妊娠し、子宮筋腫摘出術は224人(66.7%)が妊娠しました。


妊娠までの期間は、集束超音波法で13.6か月、子宮筋腫摘出術では18.9か月でした。

帝王切開となったのは、集束超音波で41.6%、子宮筋腫摘出で54.9%でした。

癒着胎盤や前置胎盤、産後の大量出血も集束超音波の方が発生率は低くなりました。

一方で、早産率、胎児ジストレス(赤ちゃんが苦しくなること)、胎児発育不全(赤ちゃんが小さくなること)、出産時の感染は、集束超音波の方が発生率は高くなりました。


このように集束超音波では、妊娠までの期間はある程度短くなるようですが、妊娠する確率はほぼ同じであることがわかります。

一方で、早産や赤ちゃんが小さく生まれるなどのデメリットがある可能性もあり、一概に集束超音波が優れているとは言えない状況です。


実際に集束超音波治療ができる病院は全国でもかなり限られているため、もし興味のある方は、対応できる近くの病院を探してみてくださいね。