先日、こちらのブログで卵巣年齢という検査について書きました。


AMHという卵巣年齢を表す数値は、妊娠しやすさではなく、妊娠トライできる残された時間の目安になる、という話でした。

では、実際に妊娠しやすさを表すのは何かというと、卵巣年齢ではなく、「年齢そのもの」になってきます。

他の条件が全く同じだとすれば、25歳と35歳では25歳の方が妊娠できる確率は高くなります。

そして、35歳を過ぎると徐々に妊娠できる確率が下がってきます。

そこで、一つの選択肢として出てくるのが、受精卵を凍結保存するという方法です。

例えば、30歳の時点で凍結保存しておけば、それを数年後に戻す事で「30歳の時点での妊娠確率」で妊娠トライできることになるのです。

そこで、今回は凍結保存に関する論文をご紹介したいと思います。



こちらの論文では、凍結保存した期間がどの程度妊娠に影響するかを検証しています。


対象となったのは、2013〜2014年にかけて凍結融解胚盤胞移植という方法で妊娠トライした1632例です。

胚盤胞とは、受精した受精卵がある程度まで成長した段階を表していて、そこまで成長したものであれば、妊娠継続の確率も高くなるだろうとされている状態です。

卵巣を刺激して複数の卵子が採れ、受精卵も多く出来た場合には、一度に戻すと双子や三つ子などリスクの高い状態となってしまうため、戻せなかった胚盤胞を凍結して、後日戻してあげる事になります。

凍結した期間を0〜6ヶ月の937例、7〜12ヶ月の299例、13〜24ヶ月の165例、25ヶ月以上の231例に分けて検証しました。

その結果、凍結から融解した際の受精卵の生存率、妊娠率、出産までたどり着ける確率や新生児の状態には、凍結期間が影響しないことがわかりました。

このように凍結保存という方法は、今最も若い時点での妊娠確率で妊娠トライできる選択肢と言えそうです。

現実的には、費用がそれなりにかかってしまうので、簡単に出来る方法ではないのですが、そう言った選択肢もあるのだ、ということはご夫婦で話し合ってもらう必要はあるかと思います。

詳しくは、お近くで凍結保存をしているクリニックで相談してみて下さいね。


(当院は凍結保存に対応していません、すいません、、、)