こちらの論文では、マレーシアの92人の妊婦さんと、31人の妊娠していない女性を対象に、Dダイマーの数値を比較しました。
その結果、Dダイマーの平均値は、妊娠していない女性で0.265μg/ml(0.799未満)だったのに対し、妊娠初期では0.481μg/ml(1.070未満)、妊娠中期では1.073μg/ml(0.357〜1.748)、妊娠後期では1.533μg/ml(0.771〜2.410)となっていました。
妊娠中は普段より数値が高くなることがわかります。また、妊娠週数が進むにつれて高くなっていく様子もうかがえます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26223147/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25060670/
こちらの論文では、416人の妊婦さんと、32人の妊娠していない女性を比較しています。
123人が妊娠初期(妊娠5〜11週)、164人が妊娠中期(妊娠13〜20週)、126人が妊娠後期(妊娠25〜35週)でした。
妊娠していない時は、Dダイマーの基準値が0.50μg/ml以下となるのですが、その基準で調べると、妊娠中期では4.8%、妊娠後期では23.8%が基準値を超えていました。
それぞれのDダイマーの値を調べると、妊娠初期では0.11〜0.40μg/ml、妊娠中期では0.14〜0.75μg/ml、妊娠後期では0.16〜1.3μg/mlとなりました。
以上のように、妊娠していない時のDダイマーと比べて、妊娠時は基準値が変わってくることがわかります。特に妊娠週数が進むにつれて、少しずつ基準値は高くなると言えそうです。
妊娠している時の血栓症の検査は、Dダイマーだと正確な評価ができない、というイメージでしたが、これらの論文の数値を踏まえて、ある程度はDダイマーで評価できそうですね。
今回は妊婦さん向けのブログではありませんでしたが、妊娠中はそれだけで血栓症のリスクが高くなる事もあり、血栓症の診断についてまとめてみました。
妊婦さん自身はむくみやトイレが近くなることから、水分を摂る量を減らしたくなるかも知れませんが、水分量が少なくなると、それだけでも血栓症のリスクになるため、しっかり水分を摂るようにして下さいね。