先日、出産経験のない方がミレーナを入れた時の話をブログに書きました。
出産経験がないと、子宮の出口が狭いため、ミレーナを入れるときに、ある程度の痛みが生じてしまいます。
その点、下から出産した経験のある方であれば、子宮の出口が比較的広がっているため、ミレーナを挿入する際には痛みが少ない傾向にあります。
出産して数ヶ月以内だと、ほとんど無痛で入れられる事も。
そこで今回は出産後どれくらい時間が経ってからミレーナを入れるのがいいのか、一つ論文をご紹介したいと思います。
この論文では、銅付加IUDという避妊の目的の為だけに使われる医療器具とミレーナについて検証しています。
ミレーナにはホルモン剤が染み込んでいるため、避妊の目的以外に生理痛を楽にしたり、生理の量を減らす事ができるのですが、銅付加IUDにはホルモン剤がないため、純粋に避妊目的での使用になります。
それらを「産後すぐ(10分以内)」、「入院早期(10分〜72時間)」、「外来早期(72時間〜4週間)」、「しばらくしてから(4週間以上)」に分けて比較しました。
対象となったのは48の論文に含まれる7,661人です。
ミレーナを入れると自然に外に出てきてしまう事があるのですが、産後すぐに入れた場合は10.2%、入院早期に入れた場合は13.2%が自然脱出したのに対し、外来早期では0%、しばらくしてからは1.8%でした。
あまり早期に入れてしまうと、妊娠の影響で子宮が大きかったり、子宮の出口も広がっているため、自然に出てしまう確率が高くなるといえますね。
出産形式で自然脱出の確率を比べると、経腟分娩が14.8%に対し、帝王切開では3.8%でした。これも経腟分娩だと子宮の出口が広がっているため、自然脱出しやすいと言えます。
以上のことから、産後3日目までに入れるのは自然脱出のリスクが高いと言えますが、日本で出産される場合は、それほど早く外来で入れる事もないと思うので、あまり気にしなくても良さそうです。
生理痛自体は、妊娠を機に改善する人もいますが、それでも生理を繰り返すにつれ、徐々に痛みが出てくることも。また、避妊目的では飲み忘れがあったり血栓症という副作用の心配があるピルに比べて、ミレーナは良い選択肢になります。
特に経腟分娩をされた方は、それほど痛みもなく入れられる事が多いので、生理痛に悩んだり、避妊を考えている人は、一度検討してみて下さいね。