生理以外のタイミングで出血してしまう事を「不正出血」と呼びます。
出血というと「赤い血」というイメージですが、おりものが赤くても茶色でもピンクでも黒でも、それは全て「出血」です。
そのため、生理以外のタイミングで出血が見られたときには、その原因が何なのかを調べる必要があります。
まず、確率は極めて低いものの、必ず見つけなければならないのは、子宮頸癌や子宮体癌などの悪性腫瘍、そしてクラミジアや淋菌などの性感染症です。
子宮頸癌に関しては、仮にHPVワクチンを打っていても定期的な健診が必要です。子宮体癌は、閉経前後の方がなることが多いのですが、稀に20代、30代の方がなることもあるので、不正出血が続く時には検査を考えた方が良いでしょう。
クラミジアや淋菌に関しては性行為によって知らず知らずのうちに貰っている事があります。おりものが増えたり、お腹が痛くなったりする事もありますが、全く無症状のこともあり、このような出血を契機に見つかる事もあります。
こういった病気は早期に発見した方がいいのですが、これらの検査をしても異常が見つからないことも非常に多いのです。
そこで、他にどんな原因があるかというと、、、
・排卵出血
生理が順調に来ている方であれば、生理が終わって1週間ちょっとしたところで排卵します。
その排卵の時に少量の出血が出ることがあり、出血のタイミングが決まって排卵の時期であれば、生理現象として様子を見てもいいでしょう。
排卵出血の時には、排卵痛といって軽くお腹が痛くなる事もあります。
・頚管ポリープ、内膜ポリープ
子宮の出口(腟の奥)や、子宮の奥である内膜の部分にポリープという出来物があると出血する事があります。これは内診検査にて見つけることができ、もし見つかれば手術をして取ることもあります。
・腟部びらん
子宮の出口(腟の奥)の部分は、表面の細胞である扁平上皮と、少し中に入った部分の円柱上皮という二つの細胞に分かれています。
この円柱上皮という部分が女性ホルモンの影響で少し手前の方に出ている方がいて、その円柱上皮の部分が出血しやすいために、不正出血の原因となる事があります。
それを「腟部びらん」といって内診検査で診断が付きます。
出血やおりものが増える原因となるのですが、これは放置していても特に悪くなる訳ではありません。もし出血やおりものの増加で悩まれる時には、レーザーで焼いて治療する事も可能です。
・黄体機能不全
排卵した後の卵巣からは黄体ホルモンというホルモンが分泌されて、子宮内膜を維持します。
この子宮内膜は、黄体ホルモンがなくなることによって剥がれ落ちてしまい、それが生理として出てくる事になるのですが、時々黄体ホルモンの量が少ない事があり、そのために維持できなくなった子宮内膜がポロポロと出てきて、生理前に不正出血を起こす事があります。
これも放置したからといって何か重大な結果に繋がる訳ではないのですが、不正出血が気になる場合や、不妊の原因になる場合には治療が必要となります。
・破綻出血
これも上で説明した黄体機能不全と同じような状態なのですが、時々排卵しない周期になると、黄体ホルモンそのものが分泌されないため、生理がくるまて内膜が維持できなくて、いろんなタイミングでポロポロ出血してしまいます。
そのまま次の生理に繋がったり、いつ生理だったのかわからないまま終わったりすることも。
こういった出血があまり続く場合には排卵しにくいホルモンバランスになっている可能性があるため、血液検査で調べる必要があるでしょう。
以上が「不正出血」の原因として考えられることです。
検査をしても悪いものが見つかる可能性はそれほど高くなく、多くの場合はホルモンバランスの影響だったりするのですが、そのあたりは基礎体温表を付けてもらって、そこに出血した日もチェックしてもらうと、おおよその原因がわかったりします。
ですのて、不正出血が続く場合には、一度はがん検診を受けてもらう必要がありますが、それと並行して基礎体温を測ってもらうのも参考になるので、試してみてくださいね。