妊娠中や産後に3人に1人が尿失禁、10人に1人が便失禁に悩むと言われています。
子宮の前には膀胱があり、子宮の後ろには直腸があり、膀胱や直腸の周りにある筋肉に対して、妊娠や出産が大きな影響を与えるからだと考えられています。
そこで、今回は妊娠に伴う失禁について説明したいと思います。
まずはこちらの論文。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/20737135/
こちらの論文では、300人の妊婦さんを骨盤底筋運動をする群と何もしない群にわけて比較しました。
その結果、妊娠中や産後の尿失禁は、骨盤底筋運動をすることで減少することがわかりました。
また、帝王切開よりも経腟分娩の方の方が尿失禁の確率が高くなることもわかりました。
骨盤底筋運動とは、オナラが出そうになって我慢する時に力を入れる部分の筋肉を鍛えることです。
帝王切開よりも経腟分娩の方の方が尿失禁の確率が高くなるのは、上図のように産道周囲に骨盤底筋があり、出産に際して筋肉がダメージを受けるためだと思われます。
そのため、1日に何度も「オナラを我慢する動作」を繰り返して骨盤底筋を鍛えることで、尿失禁や便失禁を改善できる可能性があります。
続いての論文はこちら。
こちらの論文では3040人が骨盤底筋運動を行い、3141人が骨盤底筋運動を行いませんでした。
骨盤底筋運動を行った妊婦さんでは、運動しなかった妊婦さんに比べて、妊娠後期の尿失禁の確率が56%低く、産後6ヶ月では30%低い結果となりました。
産後3ヶ月経っても尿失禁のある女性も骨盤底筋運動をすることで、運動しなかった人よりも産後1年後の尿失禁の確率は20%低くなりました。
産後1年の便失禁の確率も、骨盤底筋運動をした方が約半分の割合になりました。
以上のことから、骨盤底筋運動をすることで、妊娠・出産に伴う尿失禁・便失禁を改善できる可能性があります。
骨盤底筋運動自体はテレビを見ながらでも、電車で移動している時でも、いつでも簡単にできる運動なので、失禁に悩む方、失禁予防したい方は、日頃の生活に取り入れてみてはどうでしょうか。