今回は早産予防のための論文を見つけたので、ご紹介したいと思います。
それがコチラ。
https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jog.13497
早産患者における腸管内のクロストリジウムという細菌の少なさと、ラクトバシリスという細菌の多さが指摘されています。
そこで、この論文ではプロバイオティクスがどのように出産に影響を与えるかを調べています。
(プロバイオティクスとは、人体に良い影響を与える微生物のことです)
2008年から2014年にかけて、5232件の出産を調べたところ、121名が早産リスクが高く、調査対象となりました。
早産リスクの高い人とは、20週以前に頸管長が短くなった人、12週以降に流産した経験のある人、36週以前に早産となった経験のある人です。
ここで用いられたプロバイオティクスには、
Streptococcus faecalis
Clostridium butyricum
Bacillus mesentericus
という菌が含まれています。
このプロバイオティクスを、妊娠12週くらいから分娩まで、細菌性腟症や便秘の治療薬として毎日3〜6gという量を継続して内服してもらいました。
121人の妊婦さんのうち、内服したグループが45名、内服しなかったグループが76名でした。
その結果、明らかにプロバイオティクスを内服した群では早産の確率が低くなり、32週以前の早産の確率は0.05倍というものでした。
具体的には、、、
平均出産週数は、内服群で36.8週、非内服群で34.6週となり、32週以前の早産率は、内服群で2.2%、非内服群で25.0%となりました。
このプロバイオティクスは、論文では商品名が出てこないのですが、商品名としては、
ビオスリー
という商品で、糖化菌・乳酸菌・酪酸菌として、上で説明した菌が含まれています。
整腸剤として便秘や下痢に対して使うことの多いプロバイオティクスですが、このように早産を予防する効果がある可能性も指摘されており、前回妊娠時に早産だったなど、早産リスクの高い方は、試してみてもいいのではないでしょうか。