生理不順の原因として、
多嚢胞性卵巣症候群
PCOS
というのがあると以前説明しました。
今回は、このPCOSの診断基準について
説明したいと思います。
「これがあればPCOSである」と言える基準は
1.生理不順
2.エコー所見
3.ホルモン値
の3つがあり、これらを全て満たした場合に
PCOSと診断できる事になります。
1.生理不順
正常な生理周期は、25〜38日です。これは
生理が始まった日から、次の生理が始まる
までの日数を表しています。生理が終わる日は
関係ないですよ。
2.エコー所見
内診にてエコーで卵巣を診た時に、
どちらかの卵巣に「卵胞」という黒く
見える小さい粒が10個以上あると、
嚢胞が多い、つまり「多嚢胞」ということに
なり、重要な所見になります。
この卵胞が毎月成長して排卵するのですが、
沢山あり過ぎると、どれも成長できなくて、
結局排卵できないために、生理不順に
なってしまいます。
3.ホルモン値
頭から卵巣を刺激するために出ている
ホルモンに「LH」と「FSH」というホルモンが
あります。LHは、排卵の時に沢山出る
ホルモンで、「FSH」は卵胞に働きかけて
排卵まで成長させるホルモンです。
この二つのホルモンのバランスが崩れて
「LH」の方が高くなると、排卵しにくくなり、
結果として生理不順となります。
排卵検査薬というのが市販されているのですが、
これは排卵の時に高くなるLHを調べる
検査薬なので、常にLHが高くなる
PCOSの方が調べても、うまく検査できない
ことも、、、そういう場合は基礎体温で
おおよその排卵日を調べるしかないですね。
もしくは、テストステロンという男性ホルモンが
高くてもPCOSの診断基準に当てはまります。
そのため、PCOSの方は男性ホルモンの影響で
体毛が濃くなることも。
以上、3つの条件を満たした時にPCOSと
診断され、妊娠を希望する時には排卵誘発剤で
毎周期の排卵の確率を上げていくことに
なるのです。
よくPCOSの診断がついた方に「LHを下げる
方法はないのか」と聞かれる事がよく
あるのですが、残念ながら現時点では
そういった具体的な治療法がありません。
下のブログで説明したように、サプリは
試してもいいと思いますし、肥満傾向の方は
体重コントロールも大切ですよ。