ピルの副作用として、血栓症というものがあります。
これは、かなり確率が低いものの、数万人に1人の確率で命に関わる副作用です。
この副作用はピルの飲み初めに確率が高く、継続して内服していると、徐々に確率が下がっていくことになります。
具体的には、服用開始3カ月以内で14.3人/10,000婦人・年間と最も高く、その後減少して2年目で7.3人/10,000婦人・年間、3年目で6.3人/10,000婦人・年間、4~5年間で4.5人/10,000婦人・年間となります。
もともとピルを内服していない方でも、一定の確率で血栓症は生じるのですが、ピルを内服することで、血栓症のリスクは、1年未満:7.0倍、1~5年:3.6倍、5年以上:3.1倍と、徐々にリスクは下がっていくことがわかっています。
ただし、ピルを4週間もしくはそれ以上の休薬期間をおいて、再度内服を開始すると、初めて内服した時と同じような血栓症のリスクを経験しないといけなくなります。
そのため、継続してピルを内服する予定があるのであれば、多少飲み忘れがあったとしても、継続して内服することをお勧めします。また、うっかり薬を切らしてしまって内服を中断してしまうことを避けるためにも、できるだけ余裕を持って、ピルの処方を検討してもらった方がいいのです。
ちなみに、内服中のピルから別のピルに変更する場合、特に中断する期間を作らなければ、血栓リスクは上昇しないので、そこはご心配なく。
また、ピルによる血栓症のリスクは、ピルを中止して3カ月以内にはピルを内服していない人と同等のリスクに戻ると言われているため、長期間の心配をする必要もないと言えます。
時々、ついピルを切らしてしまって内服が途切れてしまう方がいて、そういう方はピルを再開するたびに、血栓リスクの高いところから始めないといけないことになります。それを避けるため、余裕をもって手元にピルの数を確保するようにしましょう。