生理痛に対して、病院から処方する薬としては、ピル、ジェノゲスト、漢方薬、偽閉経療法などが挙げられるのですが、今回は生子宮の中に棒をいれる「ミレーナ」という治療法について説明したいと思います。

 

手術というわけじゃなくて、外来で内診台にあがってもらって、ほんの数分で終わるんですが、3cmちょっとの棒を子宮の中にスッと入れます。

 

下から出産したことのある経産婦さんだと、比較的少ない痛みで入れられますが、未産婦さんだと痛みがあって入れられないことも。

 

製品名としてはミレーナと言います。

 

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この白い棒みたいなものにホルモン剤がしみ込んでいて、それが徐々に放出され、子宮にだけ作用するというものです。


なので、吐き気などの全身症状は出にくいのも特徴。


生理痛に対する飲み薬でジェノゲストというのがあるんですが、それと同じ様な成分がしみ込ませてあります。


(ジェノゲストもミレーナも排卵後に卵巣から出てくる黄体ホルモンが使われているんですが、ジェノゲストはジェノゲストという黄体ホルモン、ミレーナはレボノルゲストレルという黄体ホルモンを使っています)


ですので、ピルで心配されるような血栓症という副作用は考えなくても大丈夫。


しかも、1度入れてしまえば、5年は有効期間があるので、入れっぱなしでいいっていうのも楽!

 

副作用として、入れた後に不正出血があるのはジェノゲストと同じ。


あとは、ミレーナを入れる時にばい菌が一緒に入って少し腹痛が出ることがありますが、そういった副作用が出ることは、確率的にはすごく低いです。


また、まれにミレーナを入れた後の違和感が続いてしまって、途中で抜いてしまう人もいます。

 

費用的には、生理痛に対して保険で使用すると1万円ちょっとなので、5年間それで済むっていうのはお財布にやさしいですね。


なので、海外での子宮内膜症の治療ガイドラインではミレーナが第一選択になっているくらい。

 

正直、外来でお勧めしても、体内に異物を入れることに抵抗があって、なかなか受け入れられませんが、個人的にはもっと普及してもいいのではないかと思っています。

 

ちなみに、このミレーナ、保険が使えるようになったのは2014年。それまでは自費で避妊用に使っていました。

 

つまり、ミレーナを入れることで避妊効果も期待できる、ということ。


パール指数(1年間で何%の女性が妊娠するか)は0.14


コンドームは3~15%程度、ピルはしっかり飲んで0.1

 

ですので、避妊という意味では、ほぼ毎日飲み続けるピルと同様の効果が、5年間持続するという理屈になります。

 

もちろん、いざ妊娠を考えたときに、ミレーナを取り除けばまた妊娠できる状態に戻ります。

 

今、妊娠を考えてなくて、生理痛に悩んでいる方はミレーナも選択肢として考えてみてくださいね。