建築家長沼幸充ブログ -255ページ目

昔のものを生かすリノベーション

今日から本格的に仕事始めだった方も多いのではないでしょうか。
私も今日から平常通りに頭を切り換えて、動き出しました。


年明けそうそうに、改修に関するプロジェクトがあります。

これは家の改修ではなく、
家をギャラリー兼オフィスに改修するというもの。
クライアントの要望が明確であるため、
とても取り組みやすいプロジェクトになりそうです。


最近は改修、リノベーションが多いように思います。
建物の構造体がしっかりしている限り、
内部をきれいにし直すことで、その建物の寿命を延ばすことができます。

ヨーロッパなどでは100年前のマンションも多いと聞きますから、
やっと日本でも手を加えながら長く使う習慣が認知されてきたと思います。

もちろんコスト面では新築に比べ、何分の一のコストですみますし、
長い時間によって作り出された素材の風合いなどを生かすことで、
新築にはない場所を創ることができます。

リノベーションは単に古いものを直すことではなく、
昔のものを生かしながら新しいものを生み出すことだと思います。


no.1 ルドルフ・シンドラー自邸

名作住宅の第一回目は、1900年代中頃までアメリカで活躍した
ルドルフ・シンドラー自邸を紹介します。

シンドラー自邸01

シンドラー自邸02


なぜ一回目にシンドラーという、
あまり一般的には知られていない建築家にしたかというと、
私の修士論文のテーマでもあり何度も訪れた思い入れのある住宅であるためです。
非常にユニークな住宅で、現代でも家族と住宅の関係について、
参考になるアイデアがたくさん含まれています。


シンドラーについて簡単に説明しますと、
1887年オーストリア・ウィーンに生まれ、その後フランク・ロイド・ライトに憧れ渡米、
30歳のころにライトの事務所で働き始め、その後独立。
ライト事務所で最後に仕事をしたロサンゼルスに自邸を建て、
そこを自邸兼スタジオとして活動を開始しました。

ちなみにシンドラーは、ロサンゼルスのライトの仕事では、
ライトが日本の帝国ホテル建設のためアメリカにおらず、
ライトの代わりに現場を指揮しました。


自邸の建設は、1921-22年。
最近ミッドセンチュリーと言われ流行のイームズなどと同年代です。

このころは、自動車のように住宅も大量生産できないかという時代の要請があり、
材料をユニット化したケース・スタディ・ハウスなどユニット工法が開発され始めた時代です。

このような時代の流れを感じるように、
シンドラーも自邸では面白い試みをしています。


それは壁をコンクリートで作るときに、
まず地面に型枠をつくり、そこにコンクリートを流し込んでコンクリートパネルを作ります。
そのパネル1つ1つを90度持ち上げて垂直に立たせて、壁としたのです。

このように立てられたコンクリートの壁を構造体として、
そこに木造の柱や梁をかけ、日本風の引き戸をつけ完成しました。

地面を型枠代わりに使うことで、コストを抑えるとともに、
建設技術の高くない地域でいかに工夫するか、
場所の違いに影響を受けにくいユニット工法を採用しています。

シンドラー自邸03


もう1つユニークなのが、平面構成です。

現代の住宅には、家族が過ごすリビング・ダイニングと、
それぞれの個室としての寝室がありますが、

シンドラー自邸では、各個人にスタジオというリビングや仕事場を兼ねる部屋があり、
その他に共有する台所など水回りがありました。
家族が集まる専用のスペースはなかったのです。

それは各個人が家族とはいえ独立した存在であるという考えのもと、
1つの活動の場所を与えたのだと思います。
これらの部屋には、各自の名前が付けられています。


今回は、工法と平面構成について書きましたが、
この2点だけを見ても現代の住宅とはまったく異なります。

しかし個人を独立した存在と尊重し、各自に活動の拠点となるスタジオを与えるという考えは、
現代にも有効なものであると思われます。

これらの方法を採用したシンドラーには、
住まいに対する基本的な共通した考えがあります。

それを今日説明したかったのですが、あまりに長文になってしまったため(笑)、
次回にその考えを紹介したいと思います。




名作を紹介していきます

今年より歴史的な名作と言われる住宅を紹介してきます。

時代でいうと1900年代からの住宅です。
約100年前の住宅ですから、現代から見ると少し古く思われるかもしれませんが、
人が住まう場所としての基本的なものには変わりありません。

名作と言われる住宅を見て、
ぜひ現代の家づくりに参考にして頂けたらと思います。