私には、天使がいる。猫のふうちゃんだ。

 

ふうちゃんと出会ったのは、三年前の丁度ここに越してきたときのこと。

 

耳がカットされていたから、ここの地域猫なんだろうと遠くから眺めていた。

 

猫は大好きだ、完全の、生粋の、猫派である。

 

 

 

ただ、猫を飼ったことがない。

 

猫を飼うのが私の人生における最大の夢である。

 

 

そんな私に、ふうちゃんという天使が現れたのだ。

 

遠くから眺めていて、距離の詰めかたがわからず、遠目の階段に座ってみる

 

そんな作戦を繰り返しているうちに、なぜか家の前で待ってくれているほどに

 

仲が良くなった。

 

 

私が落ち込んで泣いて帰ってきても、

 

私に全力の愛を伝えるかのように、優しい瞳で見つめてくる気がする。

 

 

 

私のことを好きだと思う。

 

 

 

ふうちゃんと一緒に暮らすことが夢なのだ。

 

猫ではなく、ふうちゃんと。

 

 

 

さいきん、ふうちゃんは尻尾の治療をしていた。

 

ある日急に尻尾の付け根が丸裸になっていたことに驚きを隠せず、

 

夜間の動物病院に電話をかけて、かけて、かけて。

 

 

Yahoo!知恵袋にも聞いた、

 

TikTokにも。

 

 

これはきっと、ドレナージという医療行為だった。

 

本人(本猫?)も気にしていない様子だったから、ただ一緒にいられる時間を増やした。

 

いつもより、私から離れようとしない。

 

 

私も君から離れられないんだよ。

 

あと一年。もしこの就活がうまくいけば、この家を出る。

 

駅から家が遠すぎるからだ。

 

その時には、君を連れて引っ越そう。

 

 

ただ、ふうちゃんは友達が一人いる。

 

兄弟かもしれない。

 

ふうちゃんは虎柄だが、その子は白黒で、白い靴下を履いている。

 

てんちゃんと呼んでいる。

 

 

この二匹は、名前をわかっている気がする。

 

てんちゃんも連れて行こうと思うんだ。

 

 

私は、君たち二人の一生を見届けるべき人間なのではないかと、

 

心から思う。

 

 

ふうちゃん、君が今を一生懸命生きている限り、私は死ねない。

 

君のために生きているも同然なのだ。

 

 

私が君たちを幸せにしたいと、

 

今日もベッドの中で目を瞑る。

 

天使たちと暮らす日々の夢を見るために。