礼拝音声
(礼拝1分前からの録音となっています)

聖書箇所:ピリピ4:1-9
説教題:主にあって堅く立ちなさい

導入
第3章でパウロは、「肉に従って生きること」の危険性を警告し、ピリピの人々に「天の国の市民として生きる」ように勧めています。その後、主にあって歩む生き方がどのようなものかを具体的に述べていきます。1節はこの新しいセクションの導入部分です。

本文
1節: パウロは「私の愛する者たち」という言葉で励ましの前後を挟み、ピリピの人々に対する深い愛情を表しています。彼らはパウロの宣教活動の実りであり、特別な存在です。
• 堅く立ちなさい: 誤った教えや他人の誤った態度に流されず、主にあって堅く立ち続けるようにという呼びかけです。
パウロはその後、「主にあって堅く立つ」とは具体的にどのようなことか、いくつかの実践的な勧めを提示します。

1. 主にあって一致して生きなさい(2節)
教会内で重要な役割を担っていた二人の女性が対立していました。おそらく、使徒行伝16章13節に出てくる、教会の設立に関わった女性たちの仲間です。
「一致して」:原義は「同じ思いを持つ」というもので、キリストが命じた「互いに愛し合いなさい」という精神を反映しています。これは、私たちが一つの主、一つのバプテスマ、キリストの血によって贖われた者として共有する一致に基づいています。
2. 一致を助けなさい(3節)
「真実な協力者」が誰であるかは不明ですが、初めてこの手紙を読んだ人々には明らかだったようです。この語は「軛を共にする者(ヨークフェロー)」を意味し、親密な協力関係を示します。エパフロディト、シラス、ルカのいずれかである可能性もあります。
パウロが言及している女性たちは、困難の中でも忠実に仕え、福音の前進に大きく貢献していました。このような二人の対立を、パウロは見過ごすことはできませんでした。そして、信頼する他の仲間に、二人の一致を助けるように指示しています。
3. 主にあって喜びなさい(4節)
パウロは牢獄の中でこの命令を出しており、「喜びなさい」と繰り返して強調しています。主にある喜びは状況に左右されないからです。だからこそ彼は「いつも」と付け加えるのです。この喜びは、キリストにある確かな立場に根ざしており、おそらく3節の「いのちの書」にも関連しています(ローマ8:38–39も参照)。喜びの源を見失ってはなりません。
4. 寛容な心を持って生きなさい(5節)
これは2〜3節とも関係しています。キリストに似た謙遜、公正、親切に満ちた寛容な心は、すべての人に明らかであるべきです。私たちの証は世の光・地の塩であるべきなのです。
このように生きることができるのは、「主が近いから」です。これは主の臨在と再臨の両方を指しています。
5. 何も思い煩わず、祈りなさい(6〜7節)
この節は、「自分の力では対応できない」ことを明確にしています。その重荷を主の力強い御手に委ねないるべきなのです。
「すべて」とは、悩みごとだけでなく、日常生活の必要すべてを含みます。
祈り――祝福のための祈りが含まれると考えられます。嘆願――病気の癒しを求めるものも指したかもしれません。神に対する確信が心を不安から解放します。
さらに、自分の願いを祈りで主に告げたという事実そのものが大切です。神との親密な関係が祈りの中で育まれます。すると、神が平安を与えてくださいます。
「守る(ガードする)」――ピリピに駐屯する軍隊の守りを思わせる軍事用語です。
6. 良い徳に心を留めなさい(8〜9節)
パウロはここで、キリストの心と御霊の実を反映する道徳的な資質に焦点を当てます。「すべての」の繰り返しは、これらの徳があらゆる状況に適用されるべきことを示しています。
「正しい」「清い」ということがリストの中心に来ています。中心的な大事な徳目と考えることができます。「正しい」とは神の目にかなっていること、「清い」とは内面と外面の聖さを意味します。思いも行いも神に喜ばれるものでなければなりません。
パウロは「そのようなことに心を留めなさい」と言います。「心に留める」とは、意図的に深く考え、適用することを意味します。これらの徳は、ただ賞賛されるべき理想の有様ではなく、実際にそのように生きるべきものです。
パウロは、自分を模範として学び、見聞きし、受け取ったことを実践するよう信者たちに勧めています。これらの特質は社会でも価値あるものとされていましたが、キリストにあってより深い意味を持つのです。
神の真理に沿った思考と、神の性質を反映する行動によって、私たちは生きた証し人となるのです。これらの徳は、神の平安に根ざすときに最もよく実を結びます。
それを実践すると、「平和の神が共にいてくださる」とパウロは約束しています。
これは神の平安により力づけられ、実践によってさらにその平安を体験するという、神の平安のサイクルなのです。

まとめ
この箇所は、「主にあって堅く立ちなさい」という呼びかけで始まり、「これらのことを実践しなさい」という勧めで終わります。以下は簡潔な実践リストです:
1. 教会内で主によって一致を促進する
2. 日々の祈り、願い、感謝を通して神に近づく
3. 徳のある生活を通して、世に証しする

パウロは繰り返し「神の平安」を強調しています。これは私たちの生活において非常に必要なものです。
この平安を体験する鍵は次の通りです:
1. 継続的な祈り、願い、感謝を通して、神との親しい関係を築く
2. キリストの教えに基づいたパウロの教えを実践し、キリストの証人として生きる
この実践には、次のような約束が伴います:
「そうすれば、平和の神があなたがたとともにいてくださいます。」
イエスの言葉を伝える真の使徒であったのパウロの指示は、山上の説教や最後の晩餐でのキリストの言葉を思い起こさせます。
彼は、「思い煩うな。神を愛し、互いに愛し合いなさい」と私たちに思い出させてくれます。
ですから、主にあって堅く立ちなさい。
何をすべきかはわかっています。あとは、それを実践することです。
みことばを行う人になりなさい。(ヤコブ1:22)