聖書箇所:ゼパニヤ3章12節~17節
説教題:信仰者の喜び
導入)
ゼパニヤ書はその短さから小預言書に分類されていますが、内容は重要なものになっています。
預言者ゼパニヤは預言者エレミヤやヨシア王と同じ時期に活動していたと考えられます。つまり、
バビロン捕囚に近い時期に活動していたことになります。ゼパニヤの預言の内容は、神の裁き、悔
い改めへの呼びかけ、神に忠実な者への回復です。今回の聖書箇所は、三つ目の内容になります。
そして、それは、信仰を持つ私たちにも当てはまる内容になっています。
本論)
この箇所における喜びは、信仰者に与えられるものであることがわかります。12節では、神が残
される人々は「彼らはただ主の御名に身を避ける。」と表現されています。13節では、彼らは神に
導かれ守られる羊として表現されています。12節の「へりくだった」という表現は山上の垂訓を思
い出させ、13節の表現は詩編23編を思い起こさせるようなものになっています。
続いて、信仰者への喜べという奨励とその理由が示されています。類義語による繰り返しを用い
た強意表現になっています。三つの呼びかけは同じ人々を指しており、続いて喜びの動作が三回命
令形で示されています。聖書では喜ぶという動作は意思を働かせて選択する行為になっています。
本当に、しっかり喜べという強意の命令になっています。しかし、理由なしに喜ぶことはできませ
ん。神は15節で三つの理由を述べています。一つ目は、神が罪や罰の宣告が取り除かれたこと、二
つ目は、神が敵、霊的にはサタンと死を追い払われたこと、三つ目は、神が信仰者の只中にいるこ
とです。この三つの理由により、信仰者は喜ぶことができ、また、わざわいを恐れないでいること
ができるのです。
更に、恐れ、気落ちするなという奨励と理由が示されます。ここでも神が信仰者の只中にいると
いうことが繰り返されています。そして、その神は「救いの勇士」と表現されています。救いとい
うと訳されている語はイエス・キリストのヘブル語名「イエシュア」と語幹が同じです。その救い
主が私たちと共におられることが私たちの喜びです。神はどのようにして私たちといてくださるの
でしょうか。17節は、神が信仰者を、言い換えれば私たちを喜んでいてくださるということが書か
れています。14節では信仰者が神を喜ぶのですが、17節では神が信仰者を喜んでいるのです。しか
も、その喜びを表す「歌って喜ぶ」と訳された語は、くるくる回るという動作を含むのです。神は
踊るようにして、また歌って私たちのことを喜んでいてくださるのです。なんと素晴らしいことで
はないでしょうか。
このような神に喜ばれる信仰者の関係を築くためにはどうすれば良いのでしょうか。私たちの救
い主、イエス・キリストを信じ、信頼することです。その時に、神は私たち信仰者のことを踊るよ
うにして喜んでくださるのです。私たちはこの世という競技場にいる競技者のような存在です。神
の民として戦い、疲れ果ててしまうこともあるでしょう。罪に罪を重ねてしまうようなことも起き
るかもしれません。そんな時でも、それでもなお、イエス・キリストの故に、神は私たちのことを
歌って踊って喜んでいてくださるのです。「行け!頑張れ!」と競技者である私たちを応援していて
くださると考えることができます。そのように神は私たちを喜んでいてくださるのです。イエスが
十字架を忍ばれたのも、この喜びのゆえであったと考えることができるでしょう。この恵みの故に
私たちはいつも喜び神を讃えるのです。
まとめ)
歴史的には、この預言の後ユダヤ人はエルサレム崩壊とバビロン捕囚を経験しなければなりませ
んでした。けれども、信仰者はユダヤに残されても捕囚に取られても神にあって喜び続け、70年後
にエルサレムへの帰還が許されることとなりました。私たちにもこの世では困難が有ると聖書は述
べています。しかし、それでも神によって喜びなさいという命令が旧約にも新約にも記されている
のです。
この聖書箇所を次のように振り返ってみたいと思います。
1)主の御名にのみ信頼する信仰者となること
へりくだってイエスの救いの元に来ましょう。私たちの人生を神の御手に委ねましょう。神の
国と神の義を先ず求めて行きましょう。それが、信仰者の喜びを味わうための条件です。
2)主にあっていつも喜ぶこと
神が私たちのためにしてくだったことを思い出して、いつも喜びましょう。神は私たちの裁き
の宣告を取り除き、敵であるサタンと死を取り払ってくださり、共にいてくださるのです。
3)神が私たちを喜ばれることを心に留めること
困難な状況にあっても、私たちは神にあって希望を持つのです。霊的にどん底だと思うような
状況にあっても、神は私たちのことを歌い踊って喜んでいてくださり、応援してくださっている
のです。私たちは神の喜びなのです。
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