聖書箇所：1ペテロ３章１節～７節
説教題：キリストの故に
（導入）
本日の聖書箇所には１節と７節に二回「同じように」という表現が出てきます。それが
何を指すのかを先ず確認しましょう。当然その前に述べられた事柄を指して同じようにと
行っているはずです。この世の権威者や主人に服従するということが語られた後に、今度
は妻に服従することを勧めています。しかし、服従ということが示されていなくても、夫
に対しても同じようにという言葉が添えられています。その指し示すところは、２章に出
てくる良い証ができるようにという原則であると考えられます。そして、２章21節からは
キリストの模範が述べられているわけです。それを前提にして、確認を勧めましょう。
（解説）
１）私たちはキリストの良き証人になるべきです
妻たちに対する勧めとして自分の夫に服従することが勧められています。服従する
と訳された語は、組織、機構の中で秩序を保つために自発的に自分の権利を放棄する
ことを表す語で、兵士などにも用いられるものです。私たちは神の被造物として、神
の秩序の中で自分の権利を放棄することがあるわけです。
ペテロは１節で続けて服従することの目的と手段を示しています。大まかに言えば
証になるようにということであり、具体的には信仰を持たない夫であっても信仰を持
つようになることが目的です。方法は妻が言葉ではなく振る舞いで神にある生き様を
示すことです。２節がその補足説明になっています。
２）私たちはキリストのご性質に似たものとなるべきです
髪を編んだりすることそれ自体が悪いわけではありません。虚栄心から華美になる
ことを戒めています。外見よりも、内なる人、霊的な人格を成長させることが大事な
のです。４節で柔和と訳された語は、マタイ11章29節ではイエス・キリストのご性質
を表す言葉として出てきます。また、穏やかな霊というのは、平和的な心の在り方を
指しています。このようにイエス・キリストの似姿に成長することが、「神の美前に
価値あるもの」なのです。
ペテロはここで旧約聖書の人物の例示をします。ユダヤ人の父祖となったアブラハ
ムの妻サラが、夫に従ったことを挙げています。サラはアブラハム同様に信仰の模範
とされているのです。サラの信仰に倣って夫に服従し、神に信頼して恐れないことを
勧めています。
３）私たちは神の義を求め、互いを尊ぶべきです
ペテロはここで矛先を夫に向けます。再び「同じように」と言っています。イエス
に立ち返った者として、その態度に倣い、証になる生き方をするようにという前提が
同じことを示しています。ギリシャ語を確認しますと、この勧告の焦点は最初に「と
もに生活をしなさい」という部分に有ります。一緒に生活する、一緒に生活を管理す
るという意味の単語が用いられています。
その生活の仕方が「わきまえて」ということになります。原文ではこの部分はより
独立した感覚になっています。わきまえるべき内容は、神の戒めや御心、夫としての
義務、そして妻がどんな存在であるかということになるでしょう。
「自分よりも弱い器として」という部分が、妻がどんな存在かということの内容と
して出てきます。「器」という言葉を用いるのは、身体的な特徴に関連付けているか
らです。夫たるものは、妻、女性が医学的、生理学的、もしくは生物学的に弱い部分
を持っていることを知識的にもわきまえている必要が有ります。例えば、女性は男性
よりも赤血球数が約20％少ないために、男性よりも早く疲れを感じます。それを知ら
ないで妻が怠けているなどと考えるようなことが有ってはいけないわけです。神様が
そのように女性を創造されたのですから。
更にペテロは妻を尊敬するようにと勧め、命じています。それは尊いいのちの恵み、
救いの恵みをともに受け継ぐ者だからです。アブラハムの模範を引き合いに出すなら
ば、創世記21章では神様が彼にサラの言うことなんでも聞き入れなさいと言っていま
す。この「聞き入れる」という語は「服従する」とも訳せる言葉なのです。そうやっ
て夫婦が互いに尊敬し合って生活するのは、日々の祈りが妨げられないためです。
（まとめ）
妻に対する勧め、夫に対する勧めとしてペテロは具体的なことを述べました。この箇所
読むクリスチャンに必ずしも妻や夫がいるとは限りません。しかし、その背後にある基本
原則は全てのクリスチャンに共通のものです。ペテロが「同じように」と繰り返して述べ
た原則に返って、その適用を考えることが大事です。
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