波乱の両思い2 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『ねぇ、名前は?』


初詣後、慶君が友達と楽しそうに話し始めたから、少し離れた場所で空を見上げてた私


そんな私に、知らない女の子が声をかけてきた。


『で、誰目当て?』


「えっ?」


『てか、見ない顔だよね。あぁ・・・もしかしてあいつ等の誰かのマジカノ?な、ワケないか・・・』


「えっと・・・私は、そのぉ・・・」


『だけどナンパされた感じでもないよね?』


不思議そうな顔で私を見つめながら、彼女は何かを思いついたかのように微笑むと、奥の古びた


茶店を指差す。


『甘酒だっ!ねぇ、甘酒飲む?』


「はいっ?」


『えぇ・・・まさか未成年だから無理とか・・・そんなお堅い感じ?じゃ、おしるこ!おしるこ食べよ!』


突然私の腕をつかんで歩き出す。


「ちょっちょっと・・・待って!私、あなたの事知らないし、おしるこも甘酒もいらないから・・・」


『わかってない女だなぁ!あいつ等から助けてやろうって事なの!


ほらっ、何気ない感じで逃げないと、いい餌食になっちゃうよ!


あの連中は顔は良いけど、関わっちゃ大変なことになるの!!特にあいつ!!』


立ち止まり振り返った彼女は、どう見ても慶君を指差してる。


『あいつは、女の敵。あの年でやった女の数は数百人って噂だよ。


まっ、そこまでは大げさかもしれないけど、泣かされた子なんて私の知り合いでも十数人はいるのよ。


見た目優しそうだから、騙されるのよねぇ・・・』


彼女の言ってること、きっと真実なんだろう。


私の目に映る彼女のオーラは、初対面とは思えない・・・なぜか馴染んだ暖かい光に包まれててる。


「それは以前の慶君で、今はきっと違う『黙って!!とにかく逃げるわよ!!』


また私の腕を引っ張り歩き出した彼女は、呆れたように話し出す。


『やだなぁ・・・もしかして唯川狙いなの?そっか、そっか・・・はぁー・・・どいつもこいつも顔ばかり見て・・・


止めたほうが身のためだよ!だってアイツ、処女は相手にしないから!』


まるで慶君の事を何もかも知ってるかのような・・・あれっ?でも・・・なんだろう・・・痛い。


「ねぇ・・・大丈夫?!」


彼女のその手から、もの凄く悲しい感情が流れ込んできて、私はなんだかとっても痛い。


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