『ねぇ、名前は?』
初詣後、慶君が友達と楽しそうに話し始めたから、少し離れた場所で空を見上げてた私
そんな私に、知らない女の子が声をかけてきた。
『で、誰目当て?』
「えっ?」
『てか、見ない顔だよね。あぁ・・・もしかしてあいつ等の誰かのマジカノ?な、ワケないか・・・』
「えっと・・・私は、そのぉ・・・」
『だけどナンパされた感じでもないよね?』
不思議そうな顔で私を見つめながら、彼女は何かを思いついたかのように微笑むと、奥の古びた
茶店を指差す。
『甘酒だっ!ねぇ、甘酒飲む?』
「はいっ?」
『えぇ・・・まさか未成年だから無理とか・・・そんなお堅い感じ?じゃ、おしるこ!おしるこ食べよ!』
突然私の腕をつかんで歩き出す。
「ちょっちょっと・・・待って!私、あなたの事知らないし、おしるこも甘酒もいらないから・・・」
『わかってない女だなぁ!あいつ等から助けてやろうって事なの!
ほらっ、何気ない感じで逃げないと、いい餌食になっちゃうよ!
あの連中は顔は良いけど、関わっちゃ大変なことになるの!!特にあいつ!!』
立ち止まり振り返った彼女は、どう見ても慶君を指差してる。
『あいつは、女の敵。あの年でやった女の数は数百人って噂だよ。
まっ、そこまでは大げさかもしれないけど、泣かされた子なんて私の知り合いでも十数人はいるのよ。
見た目優しそうだから、騙されるのよねぇ・・・』
彼女の言ってること、きっと真実なんだろう。
私の目に映る彼女のオーラは、初対面とは思えない・・・なぜか馴染んだ暖かい光に包まれててる。
「それは以前の慶君で、今はきっと違う『黙って!!とにかく逃げるわよ!!』
また私の腕を引っ張り歩き出した彼女は、呆れたように話し出す。
『やだなぁ・・・もしかして唯川狙いなの?そっか、そっか・・・はぁー・・・どいつもこいつも顔ばかり見て・・・
止めたほうが身のためだよ!だってアイツ、処女は相手にしないから!』
まるで慶君の事を何もかも知ってるかのような・・・あれっ?でも・・・なんだろう・・・痛い。
「ねぇ・・・大丈夫?!」
彼女のその手から、もの凄く悲しい感情が流れ込んできて、私はなんだかとっても痛い。
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