波乱の両思い1 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『どうも・・・あっ、俺はシュンってんだけど・・・慶とは、なんつうか・・・おさなななみじで腐った関係で・・・


えっと、そのお・・・『何、てんぱってんだよ!おさなななじみって、笑えねぇから!あっ、俺はカイっす。


いつも慶から惚気られてんだけど・・・やぁ~でも慶の言うとおり清楚な感じだね・・・よろしく!』


何気なく手を差し出されるから、握手しようと手を出しかけた私・・・だけど慶君が、カイ君の手を


バシッと叩く。


「あっ・・・」


『雪菜、ダメだ。コイツらに触るとアホがうつる。てか、てめぇら俺の許可なく、話しかけんじゃねぇ!』


慶君に初詣に行こうと誘われて、待ち合わせの場所に行くと、そこには慶君だけじゃなく、十数人の


男の子達。何台ものバイクの横に、なぜかしゃがんだ状態で、大きな声の会話と笑い声。


通りを歩く人々は、わざわざ反対の歩道へ渡り、誰も近づかない。


関わった事の無い感じの集団に戸惑う私に、声を掛けてきたのがシュン君とカイ君。


『慶、でも会わせてやるって言ったじゃん!紹介するって言ってたじゃん。』


『だから会わせるだけっつっただろ!雪菜、悪い・・・皆、見た目はこんなだけど悪い奴じゃねぇから。』


「あっ、うん。慶君、たくさん友達がいるんだね。」


たくさんの慶君の仲間達は、思いのほか見た目と反して暖かい感じで、初対面だと身構えていないと


体調を崩してしまう私が、考えられ無いほど普通でいられる。


特にカイ君は、慶君に対する信頼のオーラが半端なくて、彼女の私としては少し嫉妬してしまうほどだ。


『はいっ!はいっ!慶、俺・・・どうしても話したい事があんだけど!スゲェ!スゲェ!ビックリだぜ!!』


了解を得て話すのは良いのだろうと、一人の男の子が、ジャンプしながら両手を挙げる。


『あぁ?』


面倒くさそうに、ジャンプし続ける彼に視線を送った慶君。


『まじスゲェ!!』


両手を挙げたままの彼のジャンプは、止まらない。


『なんだよ、ブッチー・・・てめぇ、つまんねぇ話だったら解ってんだろうな?!』


そんな彼を見て少し微笑む慶君は、いつもの学校での慶君とは又違った一面。


話す言葉は少しきつめな感じだけど、凄く楽しそう。もしかしたらコレが、本来の慶君なのかもしれない。


『ゴッホン!えぇ・・・あのぉ・・・雪菜さん!』


「あっ、はい。」


突然、丁寧に名前を呼ばれて、驚きつつも返事をしてしまった私。


そんな私を彼から隠すように、前に立ちはだかった慶君。


『おいっ、名前呼んで良いって誰が許可したっ!』


『あぁ・・・でも、じゃっ・・・えっとユッキー?雪雪?ユッキーナ?まさかユッティー?』


『はぁ?許可してねぇっつってんだろ!!』


ぎゃははは・・・周囲は大笑い。


だけど彼は至って真剣で・・・そして、慶君も又、本気で怒ってる。


『じゃ、許可してくれよ!なんて呼べば良い?』


『だから呼び方じゃねぇんだよ!お前如きが雪菜の名前を呼ぶんじゃねぇつってんだ!名前呼ばずに


ほら、さっさと本題を話せ!』


いまだ続いてるジャンプの意味が解らないけど、彼は慶君の言葉に頷くと、私の後方を指差す。


そして・・・


『あそこ俺の出身校!あっ、違う・・・んーっと・・・そうそう出身園!』


振り向いて見えたのは、ピンクの門、ウサギが手を振る看板・・・可愛い赤い屋根の幼稚園。


『小鳩幼稚園っつんだ!懐かしいんだけど・・・えっ?あれっ?皆、どうした?凄くねぇ?』


ポチッ↓としてくれると嬉しいです♪

 にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

にほんブログ村


素敵な片思い3 /目次 / 波乱の両思い2