『ちょっと酷くない?こんな嘘、放置しちゃ駄目だよ!』
『ねぇ・・・コレ美味しすぎるっ!』
『ホント、どこで売ってるんです?』
『あぁ、これはね菱橋のデパ地下で・・・ちょっと奥のブースで細々と売ってて
通なら必ず買うっていう一品なんですよ♪』
私の事を心配してマンションにお土産を抱えて来てくれた4人の親友達。
加奈とミキ、茜さんと唯ちゃん。お互い初対面にも関わらず意気投合してる。
『へぇー今度、行ってみます!それにしても、完璧じゃないですか?
大きさといい・・・甘さといい。パーフェクトスイーツですよ♪』
慰めに来てくれたんじゃないの?って程、週刊誌の話は冒頭の一言だけ・・・
私の友達らしいと言えば・・・らしいよね。
何だか・・・会社に迷惑掛けて、皆に迷惑掛けて、元の生活には戻れないかも?
と、考え悩んでるのが、馬鹿みたいに思えてくる。
4人と居ると何も変わらない日常が流れている様に、錯覚してしまう。
私は、芸能人でも何でもない一般人なのに・・・外には未だにマスコミらしき人が
いるらしい。私のことなんて記事にしたって、誰が見るのよ?って理解に苦しむ。
『奈緒、もしかして旦那様のお帰りかも?』
玄関のドアが開く音が聞こえる。
慌てて玄関に走っていくと、制服姿の歩君が玄関先の靴を見て微笑む。
『旦那様って俺の事?呼ばれんなら、ご主人様の方が良くね?あっ、どうも・・・』
リビングの方に視線を向けた歩君が、不意に頭を下げた。
『お帰りな・・・えっ?!えっ!!』
こちらを覗き込み声を掛けようとした茜さんが、歩君の姿をみて固まった。
『どうしたの?茜さん・・・・はぁ?!』
後から顔を出した唯ちゃんも、完全にフリーズ。
「どうしたの?」
ワケが解らず二人に声をかける私の頭に軽く手を載せた歩君が
『俺がまだ高校生って事知らなかったんじゃねぇの?』と、笑う。
『俺、すぐ出るから・・・下でヤス待たせてるんだ。』そう言うと歩君は、
制服からスーツに着替えを済ませ、リビングに顔出し
『ゆっくりしてって下さい。』
と、高校生とは思えない落ち着いた口調で皆に微笑み出かけて行った。
その直後、茜さんが私に詰め寄る。
『高校生?って聞いてないよ!アレは反則でしょ?ギャップが堪らないって
かっこ良過ぎじゃない?でも・・・1,2,3・・・あぁ怖っ!いくつ年下?!』
少しの間、茜さんの興奮は納まりそうにない。
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