天使の降臨15 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『ちょっと酷くない?こんな嘘、放置しちゃ駄目だよ!』


『ねぇ・・・コレ美味しすぎるっ!』


『ホント、どこで売ってるんです?』


『あぁ、これはね菱橋のデパ地下で・・・ちょっと奥のブースで細々と売ってて


通なら必ず買うっていう一品なんですよ♪』


私の事を心配してマンションにお土産を抱えて来てくれた4人の親友達。


加奈とミキ、茜さんと唯ちゃん。お互い初対面にも関わらず意気投合してる。


『へぇー今度、行ってみます!それにしても、完璧じゃないですか?


大きさといい・・・甘さといい。パーフェクトスイーツですよ♪』


慰めに来てくれたんじゃないの?って程、週刊誌の話は冒頭の一言だけ・・・


私の友達らしいと言えば・・・らしいよね。


何だか・・・会社に迷惑掛けて、皆に迷惑掛けて、元の生活には戻れないかも?


と、考え悩んでるのが、馬鹿みたいに思えてくる。


4人と居ると何も変わらない日常が流れている様に、錯覚してしまう。


私は、芸能人でも何でもない一般人なのに・・・外には未だにマスコミらしき人が


いるらしい。私のことなんて記事にしたって、誰が見るのよ?って理解に苦しむ。


『奈緒、もしかして旦那様のお帰りかも?』


玄関のドアが開く音が聞こえる。


慌てて玄関に走っていくと、制服姿の歩君が玄関先の靴を見て微笑む。


『旦那様って俺の事?呼ばれんなら、ご主人様の方が良くね?あっ、どうも・・・』


リビングの方に視線を向けた歩君が、不意に頭を下げた。


『お帰りな・・・えっ?!えっ!!』


こちらを覗き込み声を掛けようとした茜さんが、歩君の姿をみて固まった。


『どうしたの?茜さん・・・・はぁ?!』


後から顔を出した唯ちゃんも、完全にフリーズ。


「どうしたの?」


ワケが解らず二人に声をかける私の頭に軽く手を載せた歩君が


『俺がまだ高校生って事知らなかったんじゃねぇの?』と、笑う。


『俺、すぐ出るから・・・下でヤス待たせてるんだ。』そう言うと歩君は、


制服からスーツに着替えを済ませ、リビングに顔出し


『ゆっくりしてって下さい。』


と、高校生とは思えない落ち着いた口調で皆に微笑み出かけて行った


その直後、茜さんが私に詰め寄る。


『高校生?って聞いてないよ!アレは反則でしょ?ギャップが堪らないって


かっこ良過ぎじゃない?でも・・・1,2,3・・・あぁ怖っ!いくつ年下?!』


少しの間、茜さんの興奮は納まりそうにない。


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