天使の悪戯47*成の苦悩1 | 恋愛小説 くもりのちはれ

side成/成の苦悩1


歩に会うまでは、俺は自分が何においても、一番だと思ってた。


実際、俺に楯突く奴は周りにはいなかったし、居たとしても押さえ込みねじ伏せて


俺の存在を知らしめてきた。


そして、隣を並ぶ奴は一人としていなくなり、俺の後ろをゾロゾロとついてくる


金魚の糞のような野郎だらけ。


つまんねぇ・・・喧嘩にもならねぇ、俺のいいなりに動く兵隊・・・ダチでもなんでもねぇ


そんなつまんねぇ日々を過ごしてた俺の眼の前に・・・現れた、渡会 歩。


もちろん、噂は聞いていた。


でも、眼が合った瞬間、鏡を見てるような感覚・・・コイツは俺と同類だと直感する。


さらに、俺は一番なんかじゃ無かったと悟る。


取り巻きの野郎達は、口々に言った『たいした事ないです。成さんに比べたら』と。


そんなことは無い・・・俺は、歩のオーラに圧倒された。


冷めた眼差し、怒りの感情しか見せない歩。


そして俺達は、気が付けば隣を歩き・・・ダチと言える関係になった。


それでも・・・コイツって心底笑った事無いんじゃないかと思えるほど無表情


限度を知らない無情な暴力と冷酷さ・・・確実に・・・もはや人では無いと思えた。


いつも、どんな時も男にも女にも、ある意味真の極悪な野郎。


そして・・・『渡会歩は悪魔だ。』と言われる噂もウソでは無いと、確信してた俺。


だがら・・・あの時・・・初めて見た歩の表情に、俺達は絶句した。


それは、なぜか歩が突然引越しをして、電車通学を始めて半年ほどたった日の


駅のホーム、線路に落ちそうになった女を助けた時だった。


『名前は?』


俺は耳を疑う。


女なんてやるだけの物・・・と思ってる歩が、自分から話し掛け名前を聞くなんて


ありえねぇ・・・見つめる視線は・・・俺だけじゃねぇ、皆、何かを感じている。


そして鈍感な一人を除いて、この子の為に面倒くせぇ電車通学にしたんだと気付く。


人形のような無表情の歩を、唯一人間にできる女。


始めて彼女と笑う歩を見て、なぜか俺は、ホッとした。


そして、大事なダチの為に・・・


俺は何が何でも、奈緒ちゃんの事を守ってやろうじゃねえか・・・と決意する。


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