手がかり 1



夜7時ごろ、大西と若草がつかれきった顔で戻ってきた。

そして、大西が「課長、特殊メイクの技術で似たようなものを作れるそうです。」

「これは実際にやってもらったのですが。」と写真を見せた。

門奈と他の刑事たちもその写真をのぞきこんだ。


西村が「このおばあさんは?」


「若草です。」と大西が言った。


「へぇー」全員が驚いた。


「これだけの特殊メイクができるのはあまりいないそうで、一応技術力の高い職人を何人かリストアップしてもらいました。



若草がリストアップした用紙をホワイトボードに貼り付けた。


そこには

4人の名前が張ってあった。


岡田順貴  46歳

浅野浩二  32歳

来栖隆   32歳

時枝裕子  30歳


門奈は「よし、まずこの4人の交友関係を徹底的にあたろう。」


「あと、この時点で推測されるのは、犯人グループの人数だか、眠り薬であろうものをまいている人物、主犯、防犯カメラを遠隔操作している人物、主犯のメイクをしている人物、そして運転手の5人と推測できる。」


「この5人もしくは、数人のつながりが絶対に見つかるはずだ、次の犯行が起こる前になんとか突き止めていこう。」


全員がうなずいた。

「今日はとりあえず解散だ、みんなお疲れ様、明日も頼む。」

全員が一礼して、帰宅準備をしていた。


門奈は椅子に座り静かに目を閉じて、今回の事件を整理していた。


若草と島村が大西に食事を誘っていた、大川は西村と少しだけ飲みに行こうと誘っていた。


各人が刑事部屋を出た。


残ったのは、門奈と前田だけであった。


前田は門奈に「課長、飯行きませんか。」と誘った。


門奈は閉じていた目をあけて、「よし、行こうか。」と立ち上がり2人で部屋を出た。


歩きながら「課長、少し気になるのが、初老の男性の江本さんですが、犯人はなぜ、江本さんに似せた顔を作ったのでしょうね、アリバイから偽者ってすぐに分かってしまうのに、わざと手がかりを残しているような気がするのですが、防犯カメラにしても、この手がかりでは犯人にたどり着かないと思っているのでしょうか?」


門奈は歩きながら、「そうだな、しかしわれわれは今この手がかりからしか動きようがないしな、悔しいがこれが犯人の意図とするとこなら、どこかで行き詰まるんだろうな。」


その後、2人は無言のまま定食屋に入った。







                             初老の男性2


現場についた門奈と前田は苦虫をつぶした。


犯行が前回と全く同じなのである。そして、またも初老の男性が入ってきて意識がなくなり、気がつけば、、、


と言うことなのである。


遅れて、全員が集合して、直ちに現場周辺の聞き込みを行った。


聞き込みを開始して、まもなく、若草から連絡が入った。


「銀行から出てきた初老の男性が白の軽自動車に乗っているのを見たと言う情報が入りました。」

「その車には、サングラスを掛けた男性が運転席に乗っていたそうです。」


門奈は「わかった、その目撃者は運転手の顔は覚えているのか?モンタージュつくれそうか?」


若草は目撃者に確認をしていたが、「だめです覚えていないそうです。」


「わかった、そのまま聞き込みを続けてくれ。」と携帯電話を切った。



そして防犯カメラをチェックしていた、島村が門奈と前田を呼んだ。


島村は不思議そうに「この画面おかしいですよ、昨日の現場の映像と同じなんですよ。」


門奈と前田も画像を覗き込んだ。

そこには中央銀行の入り口の映像が映っていたのである。


島村は「畜生、犯人は絶対に見つからないとなめてますよ。」と、唇をかんだ。


「島村、この画像からなにか手ががりを探る方法はないのか?」と前田が聞いた。


「難しいですが、ウイルスなど作ってそうな、裏サイトから探ってみます。」と言って、署に戻った。


門奈は前田に「前田、俺はやっぱり初老の老人が気になるんだが、大西と若草に整形手術の病院と特殊メイクで別の人間になれるのか、またそれができる人物を探すように言ってくれ。」


「分かりました。」と言って、その場を去った。

門奈は絶対に次は手がかりを手繰り寄せて、犯人を見つけると心に誓ったのである。


                             初老の男性 



次の朝、各自モンタージュ写真を持って聞き込みに走っていた。


前田は鑑識の桜井とともに、現場の銀行の通風孔などの捜査を行っていた。


現場にいた人間全員が眠らされたとなると、換気口とかエアコンの中とかから、特殊な催眠剤か、何かをまかなければ寝てしまうなんて考えられないと思い、なかに何か残っているのではと桜井とともに朝から現場に行っていた。



門奈は一人刑事部屋で初老の男性の写真を眺めていた。


そこに聞き込みをしていた西村から電話が入った。

「モンタージュの男性が見つかりました。名前は江本信義さん72歳無職で、奥さんの美智子さん69歳とともに年金で生活をしているそうです。」

「犯行時間は2人で近くの喫茶ロルカでコーヒーを飲んでいたそうです、ロルカのマスターにも確認しましたが、いつもこの時間に2人で来ているそうです。」


「わかった、じゃあいったん戻ってきてくれ。」と力なく門奈は言って受話器を置いた。

そして、冷たいコーヒーカップを口につけ、冷めたコーヒーを飲んでいた。


しばらくして、前田が戻ってきたが渋い顔で「これと言った形跡はありませんでした。」と話した。

門奈は「初老の男性が分かったが、アリバイは完璧だそうだ、銀行員たちが見た老人は全く別の人物と言うことになるな」と腕を組んで話した。


前田は「課長、ひょっとしたら、別の老人がその老人に成りすましてと言うことも考えられませんか、整形とか、髪の毛を白くするだけでも人は変わりますし。」



「そうなんだ、俺たちはひょっとしたら全く違う道で犯人を追っているのかもしれないな。」と、門奈は言った。


「それと銀行員が無意識に寝むらされたこと、防犯カメラがとめられたこと、この辺からなにか手がかりが出てくれると良いんだがな。」と話していると。


またもや、事件の入電が、「中央区の十三地銀行中央支店で銀行強盗発生、急行せよ」


門奈と前田は顔を見合わせ、無言で現場に向かった、向かう途中前田が各捜査員に現場に集合するように指示して、車のパトライトを鳴らした。