またもや傑作に出会ってしまった。


フランスの山中で、一人の女性が失踪し殺された。秘密を抱えた5人の男女が、偶然が重なりその殺人事件を介して絡み合っていく。

この5人の視点で同じシーンが繰り返されるという構成がお見事でした。

しかも突如ガラッとキャストが変わり、それぞれの恋愛事情が描かれていく。
良質な短編映画をたくさんみたような満足感!この方式は作り手と見る側が一体になるというか、自分がパズルをしているような錯覚になります。
パズルが完成したときの優越感!!



こちらは東京国際映画祭で見逃した作品でその時は「動物だけが知っている」という題名でした。
たしかに登場キャストの飼い犬や鹿がでてきてそれぞれの事件を目撃するけど、そこはあまり重要ではないような気がする。

今のタイトルのほうがストンと落ちました。
まさに、偶然が重なっただけの悪なき殺人なのです。

同じシーンが別の視点で繰り返されるという映画は、「羅生門方式」というそうです。

大統領暗殺事件を目撃した8人の視点から描いた「バンテージポイン」、デンゼルワシントン主演の「戦火の勇気」
最近では「最後の決闘裁判」などありましたが、これらは最初に事件がおきて、キャストもわかっている状態で展開しますけど、この「悪なき殺人」は、キャスト紹介なしではじまるのでそこがとても面白いです。

シーンが変わり、まったく関係ないかのような物語から次のシークエンスがはじまるのです。ほんとにお見事な脚本でした!

―――以下、ネタバレかも?―――

冒頭、子鹿を背負って黒人の青年が自転車にのって颯爽と町を駆け抜け、怪しげなマンションの一室へはいるのですが、当然彼の物語だと思うじゃないですか。しかし彼はなかなかでてこない・・彼はいつ出てくるんだ?と思っていましたら、後半に、そーいうこと?!なるほど、「そうきたか!」。

もお、見事すぎて言葉が出ませんでした。

12/3から全国公開
12/4からスターチャンネルで世界配信します!

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