先日、田中圭主演の「mellow」が1/17日に公開されたばかりで1月24日には『his』が公開となります。
次々と新境地へ精力的に挑む監督の最新作は、LGBTQをテーマに描いた人間ドラマ。
かつては恋人同士だった男性二人が8年ぶりに再会し、その子どもを巡っていくいうちにそれぞれ自分と向き合い、成長していく。
LGBTと聞くとボーイズラブ?と思いがちですが、本作に描かれているのは男女のカップルにもある、
好きだけではどうにもならない感情や葛藤が描かれているのです。
わたしの古い友人で、失恋して海外に逃亡し数年後日本に戻ってきて、同窓会で
元彼と再会したのですが、彼は奥さんに逃げられてシングルファーザーに。
いまは二人でその子どもを育て、幸せに暮らしています。
男も女も同じなんですよ、恋愛って。
『his』を観賞した時に、愛する人の為に何が出来るかどう生きるか、どう自分と向き合うか。
この物語の根底にあるメッセージ部分が私には深く心に刺さりました。
今回、主人公の迅を演じるのはドラマ「偽装不倫」でセンセーショナルを巻き起こした宮沢氷魚さん。
このオファーを受けたのは2年前だそう。プロデューサーさんか、キャスティングされた方、すごい目利きさんですね。
静かに自身に葛藤する青年を体現。この人以外考えられないくらいハマリ役ですぞ。
寒い冬のシーンは肌の白さが目立つのかな、耳と唇がぽっと赤くなるんです。
それも、都会から田舎町に移住した青年っぽくてよかった。
さて、先日メーテレにて
今回初主演となる宮沢氷魚さん、元恋人役の藤原季節さんに長寿映画専門番組「シネマクルーズ」でインタビューさせていただきました。
宮沢さんは、「賭けグルイ」に出演され愛知出身の森川葵さんと共演しています。森川さんに昨年なんどかお会いした
ことをマイクを上着につける準備中にチラッとお話していたら、「人狼ゲーム」で葵さんと共演していた!と藤原さんも会話に入り、
準備中、余談で盛り上がってしまいました。
この時間、インタビュー前のキョリを縮める大事な時間だったりするんです。
撮影中共同生活したことが役柄に生きた
本作は岐阜県加茂郡の白川町が舞台となっていて、
お二人はこの白川町で10日間共同生活したことが、役柄にとても大きく影響したそうです。
宮沢さん演じる迅(しゅん)と藤原さん演じる渚の距離感というのが、まさに役者として初めて共演したふたりと同じでしたと宮沢さん。
ー毎日、どのように過ごしていたのでしょうか?
宮沢さん「反省会というとキリがないので、のみながらですけど明日の撮影どうしようか。という前向きな話ばかりでした」
ー以前監督とお話した際、役者に委ねるタイプとおっしゃっていました。今泉さんとのお仕事はいかがでしたか?
宮沢さん「監督は段取りも細かく指導はなくて、ぼくたちが自由に芝居をして、そこに監督の想いを共有しひとつひとつ作り上げていきました。」
ー藤原さん演じる渚の子ども、空ちゃんを演じた紗玖良さん。親子と言うより、藤原さん友だちのようでしたね〜
藤原さん「ほんとに、お芝居を引っ張ってくれましたね。僕が自由にやっているのをみて、ちょっと落ち着いてね。という感じでした」
宮沢さん「僕らが、彼女のいいところを引き出そうとおもって、張り切っていたのですが、完全にぼくたちが引っ張られました。
作った演技ではなく、奇跡的な瞬間が多かったです。それはその人がもともともっている才能だとおもいます。撮影当時7歳ですから、これからが楽しみです!」
卵の片手割りを猛練習しました
ーそういえば、宮沢さん卵を割るのが下手!と叱られていましたね(笑)
(劇中料理上手な渚は片手で卵を割るのが得意。それを空が迅にもやってくれとせがむ料理シーン)
宮沢さん「あのシーン!大変だったんです。僕は片手で卵を割れなかったので、家で一生懸命練習したのです。
でも今度は下手に割るのが出来なくなってしまい、すごく苦労しました」
藤原さん「今泉さんは、料理にこだわりを持っていましたしね」
ー藤原さんは役の渚のようにお料理が得意とか?
藤原さん「普段から料理をするんです。劇中で調理した大根は普段使ったことなかったのですが、撮影中大根にハマってしまい、今の得意料理は
鶏大根です。」
ーえ〜作っていただきたい(笑)
藤原さん「すぐに作れますよ♪」
ー白川町の思い出もぜひ教えてください。撮影現場も行ってみたいです
宮沢さん「エキストラは現地の方に協力いただきました。撮影した道の駅のみなさんが素朴で、優しくて。時間に追われて生活されていないんです。
地元のかたと話していると時間を忘れました」
物語のキーとなる松本若菜さん、松本穂香さん。ダブル松本さんについて
ーこの映画には二人の女性の存在によって、迅と渚は自分と向かい合うきっかけになります。ダブル松本さんの印象を教えてください
まずは、離婚調停中の夫として辛いシーンが多かった藤原さんから〜
藤原さん「松本若菜さんは、しっかり役を作って現場にいらっしゃいました。渚が自分のしてきたことの過ちを自覚した、あの対峙するシーンはとても緊張感あふれる現場でした」
ーつづいて松本穂香さんは宮沢さん御願いします。まるで白川町で生まれ育ったかのような女性でしたね・
宮沢さん「そうですね。それは松本さんの女優としてのスキルが高いからだと思います。芯がしっかりしていて、全身全霊で焼くと向き合うことが出来る方です・目からも表情からもひとつひとつが迫ってくる。この映画はダブル松本の存在こそが見どころだと思います」
藤原さん「松本穂香さん演じる美里に、迅が告白されるシーンが好きです。」
ーそして、渚がつっこむ!あのタイミング好きです!
宮沢さんは、カメラの向こう側の視聴者への気遣いをしてくださりとても優しい。目を見て話す方なのでとても安心してインタビューできました。
藤原さんは、こんなに大役をいただいたことがないので嬉しくてしょうがないんです。と、場を和ませてくださいました。
いやいや、わたしは2012年の人狼ゲームから存じ上げております!「全員死刑」「止められるか俺たちを」を見てますといったら、これまた凄く喜んでくださって。少年みたいに無邪気な方でした。
もともとLGBTQをテーマにした作品にでたかったのが、役者になって2年で夢が叶ったという宮沢さん。
幼稚園から高校まで13年間男子校に在学し、普通に同性愛者の友だちもたくさんいた中で育ってきたからなにも抵抗はなかった。
でも社会にでたらLGBTの方はとても肩身が狭く生きづらいということをはじめて知り、同級生の彼らになにか
役に立つことは出来ないか。役者として出来ることはLGBTがテーマの映画で僕が演じることだとずっと思っていたそうです。
相手のことを想う、気遣いの宮沢さんだからこそ、この役がぴったりハマッたのではないでしょうか?
「この映画は愛に溢れた作品です。考えさせられる物語ではありますが、正解はありませんので、ご覧になった方自身で解釈していただければと思います」とメッセージをいただきました。
なんだか、迅と渚、空ちゃん、穂香さん。。みんな今も白川町に住んでいるようなきがしてなりません。
もう少し暖かくなったら、白川町に行ってみたいです。
センチュリーシネマ舞台挨拶のフォトセッション
『his』
2020年1月24日より全国ロードショー
監督:今泉力哉
脚本:アサダアツシ
出演:宮沢氷魚 藤原季節 松本若菜 松本穂香 外村紗玖良 中村久美 鈴木慶一
配給:ファントムフィルム
(C)2020 映画「his」製作委員会