『イソップの思うツボ』3人監督の爆笑インタビュー
8/16公開 『イソップの思うツボ』は、動員数220万人以上、興行収入31億円突破!昨年、話題をかっさらった『カメラを止めるな!』クリエイターが再集結した話題作です。
『カメ止め』の快感はそのままに、テイストはまったくちがう騙し合いエンターテイメント『イソップの思うツボ』
物語とキャストの説明をするとネタバレになってしまうので、なにもお話しできませんが、
そうか、なるほど、そうきたか!
騙し騙され、ラストは想像どおり・・ではなかった!!
いまや、映画界の風雲児といわれている上田慎一郎監督とは、様々な短編映画際でトークショーでご一緒させていただきました。『カメラを止めるな』ときでは学生対象のイベント、公開後の舞台挨拶、DVDリリースイベント、とよはし映画祭2019と、この一年では6回ほどお会いしました。
浅沼監督、中泉監督は初めておあいするので、お話が聞けるこの日を楽しみにしていました。
インタビューは映画大好きな“子ども大人”な三人の和やか座談会風(笑)
3人で一本の長編作品を作ったツボ、ヒロインのキャスティングのツボ、いろんなツボを聞いてみました。
3人の出会いは2012年の映画祭
――8月16日公開おめでとうございます。長い期間あたためた作品がいよいよ公開ですね。
(以下 敬称略)
上田「あたためたというか、揉んだという感じですかね」
――3人の出会いから教えていただけますか?
上田「出会いは2012年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭短編部門コンペティション作品の監督として参加していたときですね」
――お互い初めて会ったときの印象は?
中泉さん「僕は短編映画を作ったのが初めて、コンペに出したのも初めてだったので、映画監督とどのように接したら良いか探ろうと、目線を送っていたらみなさんに恐いと言われました(笑)」
上田「すごい人を寄せ付けないオーラというか!」
浅沼「まさに、ジャックナイフです」
中泉「ジャックナイフではないです!」
中泉「飲み会の多い映画祭だったので、少しずつコミュニケーションをとっていき、仲良くなりましたね」
――その後、みなさんはオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」でご一緒していますね?
中泉「若手監督を支援しようという企画あり、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭さんが声をかけてくれた3人です」
浅沼「運命的な出会いですね」
上田「運命というか(笑)2012年の段階ではすごく仲良くはならなかったんですけど、別の映画祭でもよくあって挨拶し、話すようになり、2015年の「4/猫 ねこぶんのよん」で一緒に映画作りをして、親交が深まり打ち上げでまたみんなで何かやりたいとなり、この作品(イソップの思うツボ)が立ち上がったんです」
まったくタイプの違う三人の合作
――『イソップの思うツボ』の企画段階、製作中は順調でしたか?
上田「よく聞かれますが、口論とか、つかみあいとかは一切ないです」
中泉「熱めな声をあげてというのはあった。まず上田さんは距離感のとり方が上手いので口論にはならないんです。上田さんは怒るという行為はあまりないですね〜」
上田「そうかな〜。お互い3人とも出会いの頃からは大人になっていたと思いますね」
浅沼「口論がなかったのはお互いの作品を見せ合い、お互いの好きなことがわかったので、揉めることもなくスムーズに製作できたと思います」。
上田「じつは、3人とも作りたい物は全然似ていなくて、芸術肌が浅沼さん、人情派が中泉さん、僕がエンタテイメントなんですよ、だから好みもまったく違うのです」
――それは、みなさんで作った「4/猫 ねこぶんのよん」の作風に出てますよね?
三人「あ〜なるほど〜」
上田「作りたい物が違うというのが良かったと思います。だから意見を譲り合ってみたりしました」
――脚本についてはどのように?
上田「プロットの原型は浅沼さんとアドバイザーの方に作っていただき、それを受け取って、プロット改稿とメイン脚本は僕が書きました。ただ2人の意見を大幅に取り入れながら書いているので共同脚本という形になっています。」
――脚本づくりで産みの苦しみはありましたか?
上田「ご存じのように『カメ止め』の公開真っ最中だったんですよ。一番忙しい時だったので、苦しんでいる暇も立ち止まる暇もありませんでした。この短い期間で書き切らないといけない、という状況だったので、プレッシャーを感じている余裕もなかったですね。」
まさにこの真っ只中に上田監督と私はお会いしていて、「洋服を選ぶ時間、食事を選ぶ時間を短縮するため、いつも同じ組み合わせ、同じメニューを選んでいる」と言っていたのを思い出しました。フェイスブック創始者のマーク・ザッカーバーグか!?とつっこんだ覚えがあります(笑)
――製作する上で、『カメ止め』を意識しましたか?
上田監督「そうですね、『カメ止め』に似てしまうのは避けようとしていたと思います。」
中泉「僕らの方が意識していたかもしれないですね。この作品は『カメ止め』より前から動いていたのですが、『カメ止め』のヒットで撮影時期がずれてしまったんです。『カメ止め』には、色々な映画祭に出品して、どんどん拡がってほしいとは思っていましたが、『イソップの思うツボ』が無くなってしまうんじゃないかという恐怖も感じていました。また、(『イソップの思うツボ』が)『カメ止め』に似過ぎたら意味がないとすごく思っていたので、上田さんには“『カメ止め』っぽさは無くした方が3人で製作している意味が出てくると思う”と僕らから伝えていました。
でも上田さんは脚本を書く時間もないくらい忙しくて、“飛行機の移動時間があるからそこで書くわ”と言って、帰ってきても全く書いていないこともありました(笑)本当に忙しそうでしたので、僕らもあまり強くは言えなかったのですが、あれをやりたい、これをやりたいというアイディアは言うようにしていました。」
上田監督「でもあまりに(『カメ止め』から)離れようとしても逆におかしいので、通じる部分も残ってはいます。でも、テイストはまったく違うので、そこは言っておかないと!と思っていて、“『カメ止め』クリエイター再集結!”というキャッチコピーがありますが、『カメ止め』を観に行くテンションで行くと、テイストにしても鑑賞後感にしても、え?!となると思います。3人の監督で作っているので、全く別物だと思って観ていただけるといいかなと思いますね。」
浅沼監督「『カメ止め』が光だとすると、『イソップの思うツボ』は影だと思います。『カメ止め』の家族・日暮家は温かくて優しい家族像でした。でも『イソップの思うツボ』の家族は、お互い騙しあったり、出し抜いたり、どちらかというと光が当たらない部分にカメラを向けて撮影をしているので、『カメ止め』のような爽やかなカタルシスや鑑賞後感も残しつつ、しっかりと人物描写によるモヤモヤやズシンと心に残る重いものもあります。ですが、ストーリーラインを楽しんで、エンターテインメントとして楽しんでもらえるといいかなと思います。」
上田監督「ポップに包んではいますけど、起こっていることは結構ヘビーですからね。『カメ止め』は俺には合わなかったな、という人も『イソップも思うツボ』は合うってことがあるかもしれないですね。」
注目の新星女優の起用について
――個人的には、劇中で登場する3家族それぞれの娘を演じた
若き女優陣がとてもよかったです。特にヒロインの一人、紅甘さんは、『アイスと雨音』からの気になる女優さんです。
――それぞれのヒロインの起用した理由は?
浅沼「僕が担当した戌井家の娘役ですが、戌井家は復讐代行屋を営んでいるのでで、普通の価値観に縛られない家族です。その娘役に紅甘さんをオーデションで選びました。
彼女は若いんですけど、存在感もあり、我が道を行くというのがヒロインとぴったりなのでお願いしました」
――手足も長くて、アクションが綺麗でした。
撮影中ハッとするところもありましたか?
浅沼「アクションシーンは終わった後の決めの表情がとても良かったですね」
上田「「兎草家の早織役は、お金持ちの芸能一家で、容姿端麗という設定で、普通に演じると嫌みになってしまうので、嫌みがないという子を探していて、何人かいた候補の中から井桁弘恵さんを選びました。ウラオモテのないお嬢様というイメージにぴったりでした。」
中泉「「3人で話し合いの末に決めたことも、意見がわれたこともあります。石川瑠華さんと井桁弘恵さんはオーデションが一緒だったんです。
亀田美羽は猫背で根暗な雰囲気ですが、ちゃんと自分の意志があり、秘めたる思いがある難しい役です。この亀田美羽役にぴったり石川瑠華さんは合っていると思いました。」
上田「今回、映画のストーリーに騙された!どんでん返しが面白いという感想もありましたが、この3人の女優が良かったという意見が多かったですね」
―今後一緒に映画を作ることはありますか?
浅沼「50年後です!」
上田「中泉さんは死んでますね」
中泉「死んでないよ!」
とても仲良しな3人のインタビューはこの辺にして・・、
次回作を楽しみにしつつ?!
まずは『イソップの思うツボ』を劇場でお楽しみください。
『イソップの思うツボ』
8月16日(金)全国ロードショー!
コピーライト:©埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
配給:アスミック・エース
公式HP
イソップの思うツボ[DVD]
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