日露合作映画
「ソローキンの見た桜」
これは史実に基づくお話です。
日露戦争のさなか、愛媛県松山に設置された「捕虜収容所」を舞台に、
日本女性とロシア軍少尉の捕虜とが織りなす「愛」の物語で、
南海放送オリジナルラジオドラマ「松山ロシア人捕虜収容所外伝 ソローキンの見た桜」の映画化。
日露戦争のことは恥ずかしながらほとんど知識がありませんでした。
学校でも教えてくれないロシアと日本との関係を知ることができ、この映画に感謝です!
日露戦争は、長い鎖国から目覚め「近代国家」に生まれ変わろうとする「若き日本」が大国に戦争を挑みました。1899年のこと。
そして、武士道が残る日本と騎士道が残るロシア、軍人同士はお互いを尊敬しながら戦った戦争です。
「捕虜」の扱いに関して、この時日本は寛大な扱いをし、世界に日本という国の存在感を示したそうです。
食糧は当時の日本の将兵を上回る経費をかけ、将校クラスを中心に「自由外出」がとられたほか、道後温泉で集団入浴をしたり、遊廓にいったり、松山市内の商店街でアルコール類を購入したり、妻子をよびよせ借家に住んだり......とかなり自由な生活でした。そのほか、自転車競争や芝居見物、大相撲を見物させるなどの娯楽のほか、読み書きのできない兵卒には読み書きの教育をほどこしたりもしました。将校クラスはかなりの大金をもっていたので旺盛な消費を繰り返し、「捕虜景気」がわきおこり、町はずいぶんと活性化したとか。
(C)2019「ソローキンの見た桜」製作委員会
本作では、ロシア軍の少尉である青年と、松山市内の女性との恋を軸に、エンターテイメントと歴史的事実をおりまぜた「人間ドラマ」を描きます。
現在と過去の数奇な運命
2018年、駆け出しのTVディレクターの桜子は先輩の指示でロシア人墓地をの取材を皮切りにロシアに行くことが決定していましたが、その仕事に興味を持てませんでした。その墓地というのは、98人のロシア人捕虜のお墓で、病などで祖国の土を踏むことなく亡くなった方が眠っています。先輩の倉田が、99人分あるはずのお墓がひとつ足りない。それがロシア将校のソローキンとわかり彼は祖国に帰っていたのです。
(C)2019「ソローキンの見た桜」製作委員会
祖母菊枝から自分のルーツがロシア兵にあると知り、興味を持ち始めます。手がかりはロシアから届いた謎の手紙とソローキン、ゆい、二人の日記。
ゆいというのは桜子の曾おばあちゃん。日露戦争時、傷ついたロシア兵の看護をしていたゆいは兄の健二を戦争で無くし、心の奥底ではロシア兵を許せないでいましたが、ゆいはソローキンの寛大な心と女性を尊敬する考え方に、ソローキンはゆいの献身的な看護の優しさにふれ、お互いに惹かれあって行く。
しかし、戦争中という特殊な状況下、ソローキンとゆいの愛は許されなかった。そして、ソローキンは松山で捕虜になったのは密命のためでした。彼はロシア革命に参加する為、ソローキンは脱走を計画、ゆいをロシアへ連れて行こうとします。
(C)2019「ソローキンの見た桜」製作委員会
過去と現在が交錯しながら進行していく物語ですからまるで、ドキュメンタリーのような構成になっているのです。
ロシア人に弟を殺されながらも
捕虜たちに献身につくす看護士と、現代パートでロシアについて取材する新人テレビディレクターという一人二役をこなした阿部純子さん、
先輩役に斎藤工さん、
捕虜施設の所長にイッセー尾形さんが出演。イッセーさんは、ロシア映画「太陽」で昭和天皇を演じています。
斎藤工さんは、撮影の裏側をスマホで記録し、昨日BS日テレ「斎藤工のまなざし」というタイトルでロシア撮影の様子が放送されました。
そのほかロシア兵は実際にロシアで活躍する俳優達が演じ、劇中と同じように日露交流となった作品です
ミッドランドスクエアシネマで舞台挨拶
先週、初日を迎えミッドランドスクエアシネマ初のロシア人俳優登壇!司会を担当させていただきました。
タイトルのソローキンを演じたロデオン・ガリュチェンコさんは
「ソローキンは桜を見ることが出来なかったけど、わたしは見ることが出来そうです。」と、いつの間におぼえたのか流暢な日本語でご挨拶されたので、会場からもどよめきが!
いやはや、正視できないほどのイケメンさんでした(笑)
ロシアで活躍されている若手実力派俳優さんなのです。
ゲストのひとり、この作品のプロデューサーは、益田祐美子さんで今回が16本目のプロデュース作品。岐阜県高山市出身でわたしの憧れの方です。
通訳は、本作でメガホンをとった井上監督の奥様で井上イリーナさん。
出演もしています。
日露戦争時のロミオとジュリエットのような恋愛ドラマであり社会派でもある本作。
この作品への出演依頼が来たときのことをロデオンさんは、
「日本に興味を持っていたシナリオもとても面白かった。そしてロシアでも収容所のことはしられていない。
歴史上で問題があったとしてもロシアとは共通するところがある、お互いに通じあうこともたくさんある
国境を越えて愛や友情がこの映画には描かれている」と快諾したことを振り返っていました。
様々な言語が飛び交う合作映画ならではの撮影現場
合作映画ですと撮影現場ではいろんな言語が飛び交っていたのでは?と井上さんにお聞きしますと、
「わたしがメインで通訳をしていました。役者達のケアも必要でしたので
関西から通訳をお願いしたのですが、エキストラもたくさん必要だったため、男性におねがいして通訳兼エキストラとしても参加していただきました。
みなさんカッコイイかたでした!(笑)」
そして「映画をつくりたい気持ちは一緒なので、そこは通じ合うものがあり撮影はスムーズでした。
ただ、日本人は時間に厳しいのですが、ロシアはちょっと時間にゆるいので、ロシア俳優たちにはちょっと早めに集合させていました(笑)」
尾形イッセーさん、阿部純子さんとの共演についてロデオンさんは、
「日本の役者たちとの共演は貴重な日々でした。阿部純子さんとは英語でコミュニケーションをとりました。
恋人同士なので距離を近くしてなるべく話をしていました。」
「イッセー尾形さんはロシアの巨匠アレクサンドル・ソクーロフ監督の「太陽」で昭和天皇を演じたり、スコセッシ監督の
沈黙」など国際俳優でありほんとにいろいろ勉強になりました」と共演者との思い出を語ってくださいました。
益田プロデューサーは、ロデオンは斎藤工さんよりイケメンでしょ?!と終始ニコニコ。
「乙女な気持ちを忘れない。」それもプロデューサーとして大切なことなんだと改めて思いました!
春の大作映画もよいけれど、桜の季節にぴったりな本作をぜひご覧ください。
ソローキンの見た桜
公式HP https://sorokin-movie.com/
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