俳優・村上虹郎。
ご存じのように母はアーティストのUA、父は俳優の村上淳さん。
わたしは村上淳ことムラジュンの長年のファンであります。今だから言いますけど、モデルをした雑誌は全部買っていました。
彼がクラブのゲストDJをされていたとき、普段は行かないクラブに追っかけていったことがありますw
おととし、JRゲートタワーホテルのオープニングでもDJとして招かれていたので、少しお話ししたかな。
そして、虹郎くんは河瀬直美監督の2014年「二つ目の窓」で映画デビュー。
その翌年わたしは、早見あかりと共演した「忘れないと誓った僕がいた」の初日舞台挨拶司会や、名古屋のキャンペーンなどでご一緒させていただき、生意気で、でも人なつこくて、お話も面白くてなんて魅力のある子なんだろうと。
まだ未成年だったので食事も同席したけど、お刺身を食べながらお茶を飲むその姿をみながらいつか一緒にお酒が飲める日がこないかなと思っていたらあっという間に二十歳過ぎたのねぇ。
2017年には「二度目の夏、二度と会えない君」で主演として、名古屋で再び会うことが出来た。名古屋出身の山田裕貴くんと
のテンションアゲアゲの舞台挨拶はいまでも憶えています。
(C)吉本興業
村上虹郎主演最新作「銃」
雨の夜にひとりの主人公の大学生のトオルが一丁の拳銃を拾ったところから悪夢と天国が同居する生活がはじまる。
見る側に一切媚びない演技。大学生のキラキラしたラブストーリーとは真逆で、一歩踏み外している青春物語というのかな。誰もがもつ、闇のアイディンティティ、どこかで自分も何かの「加害者」になるではという、ぎりぎりの感情をみごとに体現しています。
今年の東京国際映画祭において日本映画スプラッシュ部門で監督賞、虹郎くんも最も今後が期待できる俳優医送られる「ジェムストーン賞」を受賞しました。
原作は芥川賞作家の中村文則の同名小説。玉木宏主演の「悪と仮面のルール」岩田剛典主演の「去年の冬、きみと別れ」など続々と小説が公開されているベストセラー作家の処女作。
モノローグで綴られ、銃を拾った青年を主人公にし、一人称で語られていく物語。これは映像がするのは難しいとされていました。
小説「銃」の映画化までのミラクルな道のり
「ソナチネ」「GONIN]などで知られる映画界のレジェンド 奥山和由さんがこの小説に魅了され、映像化に挑みました。
いまだからこそ撮らねば!と奥山さんの様々な作品で助監督として苦労を共にしてきた、「百円の恋」などの武正晴監督に演出を
依頼。
先日の単独インタビューでは、その経緯を詳しく聞くと、キャストがほぼ決まってから武監督に以来の電話をしたら、2年先まで撮影の予定が入っているといわれた。しかし長年の感?!で「きっとなにか一本、飛ぶ」(企画が頓挫することを)、この「銃」は絶対に武さんが撮る!と信じていたら、ナント次の日武監督から「撮影が一本飛びました。できま〜す」とのお返事。
さすが、長きにわたり映画業界に君臨するプロデューサーのカンはあたった?!
運も大事ですね。
主人公の虹郎くんも、いまから3年前の東京国際映画祭で初めて会って、その時にすでに「銃」を企画していたので、一目見て
主人公のトオルは村上虹郎で行きたいと、これも直感だったそうです。
原作者は映画化権を奥山さんに託すことをすぐに快諾、お互い波長が合ったと奥山さん。
武監督もスケジュール確保!そのあともう一本飛んだので(笑)、編集も時間を掛けることが出来たとか。
虹郎君は、たまたま何年か前に役者仲間に「虹郎に合う小説」といって薦められて珍しく手元にあったそう。
全てが「銃」の映画化にむけて純度の高い思いが実ったということです。
(C)吉本興業
彼女は、この映画の中で唯一の陽の部分を演じている。
虹郎君は、撮影中誰とも話さなく、役に入っていたので、「陽」を演じるにはその虹郎君の気迫にのまれないようにしていたそうで
す。
ラスト近くで二人がすれ違うシーンがあるのですが、このシーンはこの物語の救いとも言える場面。原作にない
この部分の台詞を、ありえないことなのですが、原作者の中村文則が追記したのです。
それほど中村氏も気に入っていると言うこと。
なんといっても見た感想が「事件」ですから(笑)
奥山さんは「事件」の解釈を、原作より越えてしまったと言うことと思うとおっしゃっていました。
トオルの最強の敵ともいうべき刑事役にリリー・フランキー。もう、この人しかありえないくらいのハマリ役。
細かく、粋な演技はこの人しかできません。(村上談)。
そして、トオルが一晩だけのアバンチュールとして一夜を共にし、その後も関係を続ける「トースト女」に日南響子。
欲求不満の同級生ケイスケには、個性派俳優として注目されている岡山天音が扮しています。
©2018 TIFF東京国際映画祭レッドカーペット 左から日南響子 村上虹郎 広瀬アリス、岡本天音 武正晴監督 奥山プロデューサー
響子さんとは、2011年「七つまでは神のうち」でラジオに出演していただきました。
まだ幼さが残る美少女で、17歳だったかな、
それからアーティストとして活躍し、女優としては個性的な作品に参加しています。
「トースト女」という役どころについては、「このような女性を演じるのははじめて。何度か訪れるトオルを迎えるトースト女として、たった一日の撮影だったけれどもとても中味が濃かった」と。
男性にとって都合の良い女であるトースト女ですが、だらしないさは感じない。それは響子さんがもつ品の良さなのか、
モノクロームの映像がとても映える人だとおもった。虹郎くんもそうですが、この二人のベッドシーンはとても美しい。
カラー作品がほとんどの中、モノクロで見る側の集中力を保てるのは、キャストの力であり、その惹きつけられる存在感だと思う。
銃を手にしたことで、誰にも言えない秘密を抱えるがそれは、今までに無い、もっていることの優越感のような気持ちが日常を変えていく、それは恋人のように、愛おしく危うい。
響子さんに聞いてみた。あなたにとって銃のような存在は?
「マイクです。毎日磨いて、見つめてという部分では。マイクは私を助けてくれる、相棒です」
なるほど!響子さんはいま精力的に音楽活動をされています。いつか彼女のライブにいってみたい!
愛知県出身の破格のコラボレーション
最後に、この映画にはなんと愛知県出身がいっぱいなのです。
武正晴監督は知多市(東海市)、原作者の中村文則さんは東海市、日南響子さんは稲沢市。さらに、インタビューで発覚したのですが、奥山プロデューサーも4歳まで東山に住んでいたそうです。東山動物園の写真が残っているとか。
おおっ、愛知勢による映画といっても過言ではない!
ぜひ愛知県の方は劇場に足をお運びくださいね。
11月17日土曜日より 全国ロードショー
公式サイト