~From.裕~ -54ページ目

頑張るために

目まぐるしく流れる時間
今だに慣れないスーツ
走りずらい革靴で
走り回る日々

疲れを感じるのは
決して嫌じゃない
けど…
あの頃と違い
心が追いていけない
今はただ今が精一杯で
余裕なくて…

見上げた空で思い出す
こんな時
隣で良く笑ってたお前のこと
その笑顔と
励まそうとする頑張りの空回り
笑わせてもらって
元気もらってたんだよな

一日の終わりには
あの笑顔に逢いたくて
携帯電話から聞こえた
寂しさ隠しの空元気
お前の笑顔が見えた気がした

ごめんな
今度の日曜は必ず
無理じゃないって…

俺が充電不足
お前の笑顔に逢いたいんだよ

ひとり暮らし……(超短編淲)

特に楽しい事も無い日々。
珍しく早めに上司から解放された午後10時。

気になっていた本をやっと買える…
たいして飲んだ訳じゃないけど、酔い冷ましにちょうどいい夜風だ。

疎らな人波の間から
見つめ合う二人に目が止まった
張り詰めた空気感からして
別れ話しの真っ只中?…
パシッ!
いきなり男の頬を叩くと
なんの未練も後悔も無いかのように、真っ直ぐ前を向き歩いて来る。
着慣れたスーツとヒールの音が大人の女性(おんな)を思わせた。
すれ違う人の合間から
『泣くもんか…』
唇を軽く噛む横顔に
ひとしずく…
可愛い一瞬をみたようで思わず振り返っていた。

松嶋菜々子…
ドラマの一場面のようだった。

帰りながらも彼女を思い出してはニヤケている自分がいた。
家の明かりが見えると一気に冷めた。
一人暮らしだったら
こんな時ゆっくり出来るのに…

姉二人の五人家族の俺。
幼い頃から三対二
その二の一人は五年前から単身赴任中。
大学入学をきっかけに一人暮らしする予定だった。
が、男不在になるのは心配だと
赴任が決定した時に父親に却下された。

重い気持ちと一緒に玄関のドアを開けると
いつになく賑やかな笑い声にひと息つき
リビングのドアを開けた俺は止まった。

片膝立てソファーに座り
洗いたての髪を拭きながら片手に缶ビール
お笑い番組に大笑いしている我が家の長女
『お帰り』
『あっ…た、ただいま』
そんな俺をキッチンで呼んでる

鞄と上着を受け取ってくれる我が家の二女
俺を長男扱いする数少ない行為
悪くない!
躾てくれた両親に感謝だ!

『失恋したんだって。やっと落ち着いたとこ』
それにしてはやたらと元気に見える
あの彼女(ひと)の事を思い出しながら聞いていた俺
だったが-

何も言わず平手打ち?
涙も見せず帰った?
時間は10時?
場所は…
同じ駅前公園?
俺の見た松嶋菜々子は………
落ち着け
落ち着け…俺…
思い出せ、落ち着いて全て

スーツ…バック…微かに見えたピアス…靴…
思い出す一つ一つが俺の隣にあった
そして…一瞬の横顔と声……
……姉ちゃん?………
よりによって姉ちゃん?!……
余りのショックに椅子に崩れ落ちた
『なんでシンが失恋したような顔してんの』
失恋の方がまだましだ!
声にもならなかった…

そんな俺に缶ビール片手に振り向き
『彼女も居ない奴が失恋だって?』
言い返す気力も無い
『見た目は良いんだから』
『あら、ちゃんと中身もいい男よ』
フォローする母親の言葉をクスッと笑いながら
『自信持てって言ってるでしょ…何だったら紹介するぞ』
『いらねぇよ!』
自分にショックでパニックで腹が立ってきて、言い捨て部屋へ

一人暮らしだったら気付くことなかった…かも
父さん…カムバック!!
誰か
我が家の松嶋菜々子を貰ってくれ~
何処に居んだよ反町隆史!

しばらくして母親に呼ばれしかたなしに下りリビングへ
飲み潰れた姉ちゃんを部屋に運ぶのだろう。
ドアを開けると
何も言われ無くても分かる状態で手を伸ばし呟いてきた
『誰が姉ちゃんを姫様抱っこすっかよ』
手を払うと不満げな顔と態度に
しかたなしに背中を向けた
『三度目か…背負ってもらうの。世話になるねシンには…』
『急に何だよ』
『ケガと失恋二回か…だから一人暮らし出来ないんだよね。こんな日一人じゃ淋し過ぎるでしょ。
迷惑は掛けるけどさ…
シンが彼女作らないのは私達のせいかもしれないけど…
男も女も同じ、好きな人の前ではいい女で居たい。
一人になれば似たようなものよ
免疫出来ていればたいていの女の子の事は可愛く感じるって、安心して付き合いな。
本当は私達の方が大変なんだから。
父親と長男を見て来て基準が高くなってるんだからね。優しさに甘え過ぎかな…』
俺の背中で言いたい事だけ言うと寝ていた。

俺もそうなのかな…
一人暮らし出来ないかもな
それに何かあるたびに呼び出されたんじゃ堪ったもんじゃねぇし…

早く探出して下さい
我が家のいい女二人
俺の
松嶋菜々子が見つかる前に!

霧舞う雨の日は

どうしてる…
静かに細く降る雨は
以外と濡れるんだよな

どうしてる…
元気な振りしてんだろ
以外と意地張りだからな

空と同じで
太陽が笑えば笑えてる
雨になると
途端に寂しそうになる
特に
霧舞うような静かな雨は
ゆっくり君の心濡らすんだ

気づかないように…

どうしてる…
ひとり
泣きそうな想い抱えてんだろ

こんな
静かな雨の日は
気になってしょうがないんだ
何も言わないから
ひとりで震えるから

直ぐに行くから
ひとりで泣くな
傍にに行くから
ひとりで震えるな

どうしていたって関係ない
俺が
抱きしめたいだけ

苦しいって言っても
離してやらないからな