3月の読書報告です
今月はクイズ読書ではありません。
読めない病対策として、入り込み易い短編シリーズものを
多く読んでいます。それでも月間8冊でしたが。
本年の通算は22冊で大変少ない冊数ペースになってますが
余り焦りを感じる事がなく、このくらいが今の適量なのかな
とは思っております。


歌野晶午 名探偵、初心者ですが ☆☆☆

今年の重点作家、歌野作品です。重点作家と言いながら
これが2冊目、未読本はあと19冊もあります。
全部、読み切ろうという意欲はなく、月1冊くらいで
良いんじゃないかって思ってます。
さて、本作は舞田ひとみ(11歳)が探偵役?
改題前のタイトル「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」
から恐れていたのですが、決して子供探偵ものではなかったです。
事件はたまたまひとみの言葉などがヒントになって解決したり
する短編集ですけど、いわゆる探偵役をしてはいません。
ひとみと刑事の叔父さんとの絡みはアクセントまたは
箸休めみたいなもので事件解決とは切り離して読んだ方が
良いかも知れないという程度の調味料的役割でした。


櫻田智也 サーチライトと誘蛾灯 ☆☆☆☆

ミステリーズ新人賞を獲った作品を含む短編集です。
昆虫オタクのとぼけた青年、魞沢泉(えりさわせん・読めない打てない)
が探偵です。各話に昆虫が必ず出てきますが、私は昆虫好きなので
むしろ、楽しいです。初めて読む作家さんですけど、このタイプの
短編ミステリは好物なので、これからもマークして行こうって
思う作家になりました。


麻見和史 凪の残響 ☆☆☆☆

警視庁殺人分析班シリーズ第11弾 随分続いているシリーズです
覚えにくく堅苦しいシリーズ名よりも如月塔子シリーズ
心の中では呼んでいます。このシリーズでは犯人による猟奇的な
描写が出てくるシリーズでもあります。今回も切断された指を
飲食店で飲み物に入れるという気持ち悪い描写で始まります。
個人的には苦手な描写ですけど、長編を支えるには平凡な犯行や
平凡な犯人では持ちこたえられないのでしょう。
本シリーズは警察ものでありながら本格ミステリの要素
しっかりと入れてくる所に読み応えがありますが、読者がその謎を
ロジックで解くには最終盤まで待たねばならなくなってきてますね。
まあ、仕方のないところではありますが。


水生大海 ひよっこ社労士のヒナコ ☆☆☆

お仕事小説です。会社勤めの人にとっては社労士という職種を
知っている人が多いでしょう。知ってはいても直接、関わるのは
総務などの一部の人だけかと思います。本作の主人公ヒナコさんは
エリートでは全然なくて、正社員になれなくて派遣社員を何年か
こなした上、必死に資格を取って社労士になりました。
それでもなかなか就職が出来ずにやっと四人だけの小さな事務所に
入ったばかりのひよっこ社労士さんです。でも作中のヒナコさんは
ちゃんと仕事をこなしており、数々の難局を頑張って切り抜けています。
読んでいるうちに労務問題についての知識も増えるので、お仕事小説は
ミステリの次に好きな分野
の小説です。


鯨統一郎 ただいま家事見習い中 ☆

続けてお仕事小説(&ミステリ)です。主人公の亜美が勘違いで
就職してしまったハウスワーク代行業のお話(中編3編)です。
家事は全くのはずの亜美がそつなくこなして雇い主と上手く行くのに
少し違和感を感じます。また、ミステリ部分は非常に弱く、お仕事部分の
家事代行についても蘊蓄や実情の紹介に乏しく、取り柄のない
小説に感じました。残念。


太田紫織 櫻子さんの足下には死体が埋まっている 蝶は聖夜に羽ばたく ☆☆

太田紫織さんを重点作家として読んだのは2021年の事。

主となる櫻子さんシリーズ(骨シリーズ)は相棒役の正太郎の

キャラが嫌で17巻もあるシリーズを15巻まで我慢して読んだ挙句、

完読を諦めた経緯があります。
3年という冷却期間を置いた事と全冊、揃った事もあり、第16弾を読みました。
う~ん、まあ、相変わらずのストーリーではあります。正太郎の出番が少なめ
だった(いつもは語り手なので)ので読み切れましたが、全くの途中で
話が終わってしまいました。
最終巻へ続くのであれば、本来、上下巻で
構成して欲しい。スッキリしないなぁ。まあ、ここまで来たら最終巻も読むけど。


森博嗣    ナ・バ・テア ☆☆☆

英語がネイティヴでかつ日本人には解るのでしょうか?

ナ・バ・テアは「None but air」を発音したもののようです。

「空気しかない」そんな職場環境には実は敵機がいたりします。

そうです。これは戦闘機乗りの話です。
専門用語がバンバン出ます(私はチンプンカンプン)
そしてその設定はSF的なアナザーワールドでの話なのです。
前作を読んだのが2009年の私がそんな設定を覚えているわけがありません。
主人公ですらどんな人だったのかサッパリでした。そのため、

前作「スカイ・クロラ」をチラ読みする事、しばし。

主人公の「僕」草薙水素キルドレ女子なんだねぇ
(キルドレは思い出せなかったので検索した)女子が「僕」の一人称を使うのは
そんなに珍しくもない(古くは三つ目が通るの和登さん、最近ではあのちゃん)けど
本の初めの方で教えてくれないと男想定で読んでしまう難点あり。
(だから前作を覚えておけよ)分類するならミステリではなく、SFかなぁ
戦争ものともちょっと違うよね。次作は間を空けずに読もうっと


黒川博行 雨に殺せば ☆☆☆

黒川作品は過去5冊読んでいてオール☆3つのハズレ無し。直木賞も受賞し
精力的に作品を書き上げ続けている作家さんなのですけど、これまた
前作との間が空き過ぎている。前作「二度のお別れ」も読書は2009年
大阪府警シリーズと呼ばれているのか定かではなく、黒マメシリーズ
(黒木とマメちゃん)と呼ばれているのかも。前作のイメージは
アクの強い関西弁のセリフで押しまくる軽快なタッチの刑事もの。
本作も同じで、しっかりした事件なのに関西弁のせいで重厚さに欠け
ユーモラスな部分が押し出される作り
となっていました。
実は「方言もの」があまり得意ではないのでしばらく敬遠していました。