2024年1月の読書報告です。
昨年末は100冊到達のためにやや無理をした事もあり
年明けには反動がきまして「ま、そんなに読まなくても」
という気楽な姿勢かつチョイスとなり、結果は7冊。
激減してはいないものの、時間もあったのにこの冊数。
でもまあ、これが今の自分の適量なのでしょう。
あ、クイズ読書ではありません。


吉永南央 薔薇色に染まる頃 ☆☆☆

紅雲町珈琲屋シリーズ第11弾。今回のお草さんは
サスペンスになってます。いつもは近所で起きる
生活の中での小さな事件が主だったのに、今回は
東京から関西へとそしてその途中での逃避行へ
日常とはかけ離れた裏の社会の姿がお草さんを襲うという
サスペンスなのです。いつもと違うテイストですが
長期シリーズには必要なアクセントなのかも知れません。


宮下奈都 誰かが足りない ☆☆☆

ハライという名のレストランがキーとなる6つの
短編集。独立した話が「ハライ」の予約の日へと
収斂していく構想
を持つお話たちです。
使い古された手法であっても、読む側は心地よい
調和への道が約束されているような安心感が持てます。
名作「羊と鋼の森」しか読んでいない宮下作品の本を
読んでみました。本作はそれに比べ何かが足りない
のではなくてこれがお皿にあった丁度良いサイズの料理だと思います。


川瀬七緒 潮騒のアニマ ☆☆☆

伊豆諸島の架空の島「神ノ出島」が舞台の法医昆虫学シリーズ
第5弾
解剖医の見解と一致しない虫たちの行動の
謎を解くのは今回もまた同じテーマ。いずれにしても
そこを推理するのは一般人には不可能な話で、読者は
作中の岩楯刑事と同じく赤堀涼子(学者)に考察を委ねるしか
ありません。今回の事件には余りにも救われない背景があって
事件解決への道が快い感じのものとはなっていない作品です。


吉野泉    手のひらアストラル ☆☆☆

6年前に読んだ「放課後スプリング・トレイン」の続編
高校二年になった吉野泉が学校生活の中で起きる
些細な日常の謎を飛木さん(探偵役)に尋ねる短編5編
何しろ6年も前の読書で主人公や飛木探偵の事はすっかり
忘れている私ですが、好感を持った記憶だけはうっすらと。
しかし、本作はどうもすっきりしない。回収が出来てなかったり
疑問が残ったままだったりで、4話目までがモヤモヤ状態。
好みのタイプの作品(日常の謎短編集)なのにこれは
贔屓目に見ても☆☆だなと思いながら最終話へと。
するとそこでそれまでのモヤモヤの解決が示されるのです。
これは如何なものか?計5話の短編を個別に評価して
5で割った点数と5話全部通して一つの作品で見た場合の
点数で差が出てくるズルイ構成。う~ん。
ちなみに☆3は5話トータル=一作での評価です。


歌野晶午 ガラス張りの誘拐 ☆☆☆

そうそう、そう言えば2024年は歌野晶午フェアーでした。
分厚い本が多いし、読めるかなぁ(初月から尻込み)
とりあえず、未読で一番古い作品を無造作にチョイス
うーん。読み易さは普通かな。ストーリーも
こんなモンでしょう。そしてアイデアは?
ははあ、動機が新鮮な所が売りなんですね。
しかし、人によってはこんな動機ってある??
と違和感を覚えるでしょう。でも歌野作品で
アイデアの奇異さを否定しては始まりません。


宮部みゆき さよならの儀式 ☆☆☆

宮部さんにこんな本があったんだー
裏表紙の案内文には「初のSF作品集」とあります。
2022年10月発行なので最近の出版でした。にしても「初?」
宮部作品はジャンルの幅が広く、ミステリ・時代もの・ファンタジー
などと並んでSFものだって沢山あったはず。「蒲生亭事件」はSFだし
「龍は眠る」「クロスファイヤ」はSF王道ものだしね
でも、短編集は初なんだ。長編それも大長編が多い作者なので
初期以外の本は余り短編集とかは出していなかったのかも。
この中の「聖痕」と言う作品は他の短編集にも収録されてた作品だって
解説を読んで知って読書録を確認したらそれ読んでた!
読み終えても全く思い出せなかったよ、痛恨。
その読書録確認でこれが50冊目の宮部本だってことにも気づく。
上下巻や複数巻の作品も多いので、実数は50冊以上
読んでいる作家なんだなぁと改めて知る。
時代物は殆ど読んでいないのでそんな気はしませんでしたが。


川澄浩平 探偵は教室にいない ☆☆☆

第28回鮎川哲也賞受賞作。改題する前は「学校へ行かない探偵」
学校へ行かない事に信条や謎解きとの関連があるとは思えないので
改題した後のタイトルの方が良さげではあります。
日常の謎系学園もの短編集で、最近はこんなのばっか読んでいます。
好みのジャンル・スタイルなので甘い点数を付けますが
これで鮎川賞?というのが本音でもあります。
探偵に謎を依頼するワトソンは女子中学生の真史(まふみ)
面倒臭い年頃と言えるでしょう。謎もその周辺で起きるものの
それ、真史さん、本当に解きたい?と聞きたくなるくらいの
小骨です。謎が魅力的であればこの種のミステリ短編は小骨で
全く良いのですけど謎が持つ魅力が乏しい。こんな時、鮎川賞は
矜持を持って受賞作無しとするのですが、本作は佳作でもない
本物の受賞作。前年が「屍人荘」で前々年が「ジェリーフィッシュ」
本作の小物感はここからも窺われますが良い箸休めなのかもと邪推。
いや、きっと自分の読みが浅いか感覚が鈍っているのでしょう

-----------------------------------------------------------
オマケの読書

鈴木みき 日帰り登山のススメ あした、山に行こう!

ベースは漫画(文字も多いが)なので読書数にはカウントしません。
紹介文には「山登り?つらそうだし、面倒くさいし、怖いし・・
そんなあなたに登山系イラストレーター鈴木みきが贈る、
無理なく一歩を踏み出せる日帰り登山指南漫画」

漫画だけでなく、基礎知識コラムや対談(あばれる君、登山部だったんだ)
コース紹介も19あり、情報量、文字量意外に多し。文庫本なので
漫画のフキダシ以外の手書き文字が小さい!それでも薄い本なので
あっと言う間に読めました。で、読み終わった次の日、明日山に行こう
となったかと言うと幸いにも冬でもあり血迷う事はありませんでした(笑)
でも、高原あたりを横移動で歩くのには心が動かされます