7月の読書報告です。7月の読書本は11冊。
今月はクイズ出題無しです。
クイズ出題に囚われない月は自由セレクトなんですが
自然と「読み掛けのシリーズものを進める」という意識が
働き結果的にテーマ読書になってしまいます。
シリーズものはどこが最終なのか判り難く
(スピンオフや追加本が出たりするよね)
ここでのシリーズ数では自分が持ってる冊数今回で

何冊の読了になるかを◎/〇という分数で表しておきます。
(蔵書分のみですので分母数=シリーズ数ではありません)


倉知淳    過ぎ行く風はみどり色 ☆☆☆ 5/5

月の最初に無意識に手に取った本。猫丸先輩シリーズでした。
猫丸先輩ものにしては珍しく長編作品です。
これで手持ちの猫丸先輩ものは読み切った事になるとはいえ
シリーズ外の短編集の中の一篇にも猫丸先輩は徘徊猫の如く
顔を出す
ので油断は出来ません。(何の警戒だか・・)
本作600ページ近い大作ですが猫丸先輩の人徳(?)
そんなに重々しくない感じで殺人事件が続きます。
物語の肝になる部分の仕掛けに関しては、ちょっと
反則っぽいです。記述しないまでも推測可能な描写を
もう少ししなくては不自然なのでは?と思います。
本格あるあるではありますが。


村山早紀 コンビニたそがれ堂 空の童話 ☆☆☆ 4/4

これも手持ちは完読。しかし、シリーズはどんどん発刊されているようです。
「風早」という街のシリーズで捉えるとかなりの数になりそうです。
古くから風早の街にある伝説なのにコンビニ?という設定も不思議な
ファンタジー。たそがれ堂は物語の中で終着点とは限らず、ちょっとした
休憩所や中継点、答えを求める人には拠り所になる役割りです。
彷徨う庭にポツンと現れる四阿のような感じを受けます。


麻見和史 灰の轍 ☆☆ 4/8

麻見氏のシリーズものと言えば「警視庁殺人分析班」ですが
この「警視庁文書捜査官」シリーズもどんどん発表され
分析班を追い抜く勢いです。どちらも警察もので、この
シリーズは文書に謎があってそれをメインとするのが
私の希望
なんですけど、現場捜査部分が結構多くて
分析班との差別化が余りありません。
暗号解きを
メインにする長編は難しいかも知れませんが。
文書分析班はシリーズ4作目にして課員が四人(一人は応援)
に増え大所帯化しつつありますが、このくらいの人数を
上限に
してもらえないかなと個人的には思います。


蒼月海里 幻想古書店で珈琲を それぞれの逡巡 ☆☆ 6/8

このシリーズは☆2つのまま読書を続けていたのですが
やっと出口(あと2冊)が見えてきました。
古書店と珈琲の2大好物の入ったタイトルの作品なのに
今一つですなぁ。本作の不満点は過去の作品たちと同じです。
一冊が薄い本なのが救いです(それなら読まなければ良いのに・・)


青柳碧人 綾志別町役場妖怪課 すべては雪の夜のこと ☆☆ 5/5

青柳氏は今年の重点作家なのでシリーズものの未読があれば読みます。
読みますが、5冊目なのになんか人物その他設定など(特に前作の事件)が
思い出せない。
それもそのはず前作を読んだのは2017年!
そんなに前?!時が経つのは早いしそれ以上に早いのが忘却速度です。
前作に関する記述が出ても理解しないまま読み進めてしまいます。
やっぱりシリーズものは熱いうちに読めとまで言わなくても
冷める前に、いやせめて凝固してしまわないうちには読みたいものです。


高里椎奈 うちの執事に願ったならば ☆☆ 10/19

このシリーズもなかなか☆2つを抜け出す事がないです。
しかも出口が見えません(まだ9冊もあるぅ)
そもそもハイソサエティに興味ありません。相性悪いです。
一冊が薄い本なのが救いです(それなら読まなければ良いのに2)
いやこの作の場合、それなら買わなければ良いのに・・です。
なお、このシリーズ10冊目から「うちの執事が言うことには」
から「うちの執事に願ったならば」に変っています。
内容的にどこがどうなったのか全く変化の違いは見受けられません。
背表紙にタイトル通し数字を入れるのは

一桁までという不文律でもあるのかも?


青柳碧人 泣くなブタカン! ☆☆☆ 3/3

青柳氏のシリーズものは沢山あります。この作品は
青春学園ものです。そしてクラブ活動(王道だー)です。
ブタカンというのは舞台監督の略でクラブは演劇部です。
本作では主人公が三年生となり最終学年という事で
遂に完結編となります。そこでのエピソードは感動的な
ファイナーレを迎える王道とは違う、少し変化球になるのですけど
本当に3年生ともなれば進路や勉強などの部活から離れざるを得ない
時期を迎えるわけで学生のリアルな部活への姿勢変化

描かれていて地味ですがその点は好感持てます。


近江泉美 オーダーは探偵に 謎解きは舶来のスイーツと ☆☆ 6/10

喫茶店を舞台に日常系謎を扱うシリーズで、探偵はイメケン高校生
ワトソン役はバイトの女子大生(少々単純だけど一生懸命)という
有りがちなライトノベルです。この読書も余り進んでおりません。
前作を読んだのは2020年。何とか設定や人物キャラは憶えております。
一応ミステリで10冊も続くというのはホームズの作品群が
長編を含めても9冊だけ
なのでそれを考えると・・う~ん
いや、較べる相手が悪いですね。。


西澤保彦 身代わり ☆☆☆☆ 9/9

タイトルだけでは判らなかったのですが、西澤氏の数あるシリーズの中でも
本格派作品である「タック&タカチ」のシリーズです。
この場合の本格派というのはいわゆる本格ミステリの本格ではありません。
西澤氏の作品はどれも本格ミステリではありますので。
しかし、その本格ミステリのシリーズは余りに変化球やら変則投法の
作品群が多く
タック&タカチのシリーズは貴重な普通の本格ミステリです。
現実社会で普通に生活している普通の舞台でのミステリです。
奇妙な癖を持った警部や超能力者がたむろしている世界、あり得ない職業の探偵役
などが出て来ない普通のミステリです。(くどいか?)

西澤作品を初めに手を付けるなら是非とも

タック&タカチシリーズで肩慣らしをしてからお入りください。
とはいえ、本作の動機の一部はちょっと普通では考えられないもので
そこが捜査を複雑にしてしまっています。本格ミステリならではの
不条理な動機
と言えるでしょう。


三上延    ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ ☆☆☆ 9/9

ビブリア古書堂シリーズは7冊目で完結したはずなんです。
本屋の棚で8冊に当たる番外編的な本になかなか気づけなかったのは
タイトルがシリーズ一冊目と同じだからです。

(副題は違いますが細かくて読めない~)文庫本は背表紙の上に数字
入っていて刊行順(発表順とは限らないのが困る所)が判るように
なっているのですが、ある日シリーズ一冊目の「ビブリア古書堂の事件手帖」
になっているのに気付き、変に思い番外編に気付いたわけなんです
シリーズの2冊目から7冊目はそれぞれタイトルに数字がついていて
副題に目を凝らさなくても判ります。でもねえ、それ、8に出来ない?
出来ないならタイトルをビブリア古書堂の事件簿とか変えられない?
そんな思いが通じたのか定かではないですけど9冊目は
~事件手帖2ではなく~事件手帖Ⅱになってます(それでも気付きにくいぞ)
副題は栞子から扉子に変っていますがこれはもう栞子の続編です。
事件そのものも扉子が育ってからというよりその前の栞子時代の
ものですし。完結と言ってもこんな風に続いてしまうシリーズもあります。
あ、いやだからダメなんて言わないです。好きなシリーズが続くのは嬉しいです。


岡崎琢磨 珈琲店タレーランの事件簿5 ☆☆ 5/6

前作~事件簿4を読んだのが2018年もう4年も経過してます。
勿論、色々と忘れています。主要2人の人物ってこんな風だっけ?
何か関係性が変わってきてない?と思ってしまうけど、きっと
私の忘却能力のなせるワザでありましょう。(消味期限を守りましょう)
本格ミステリには何でソレをするのにワザワザそんな手順、方法を??
と首をかしげるものが少なくありません。
私は本格ミステリファンでありますからその点には非常に寛容なつもりです。
しかし、この作品の中で行われた一つの謎に対してはいくら何でも??
と思わざるを得ない手段がありました。本格ミステリが一般に嫌われるのも
こういう無理押し謎の物語が刊行されてしまう
所なんでしょう。