6月の読書報告です。
6月の読書は8冊。これで半年経過となりましたが
今年通算では46冊となります。ちょっとペースは遅いです。

さて、皆さん、今月の読書はクイズ出題となります。
今月の難易度は☆4つかと思います。
難問です。でも前回難問だと思った星座問題
割とアッサリ解かれたので、今回はどうかな?


【各作品の共通ワードは何でしょう?】
(ステルス多いです)

麻見和史 水葬の迷宮 ☆☆☆

麻見作品には色々なシリーズがあります。
一番有名なのが「警視庁殺人班」シリーズかと思います。
この作品は「特捜7」シリーズの第一作なので
読む側から見るとどんなキャラなのかバディとの
関係性はどうなのか
をいちから把握しなければなりません。
しかし、その通過儀式はすんなりと通り抜けられました。
若い女性刑事+上司の男刑事という図式「警視庁殺人班」
似てたからです。そんな余談はさておき、本作はどうかと
言うと作品構成に於いても「警視庁殺人班」同様の
抑えるべき所を外さない、メリハリのある展開、
適度な謎の提出と解決を踏まえたストーリー。

欠点の少ない好作と言えるかと思います。


泡坂妻夫 死者の輪舞 ☆☆☆☆

既読だと思っていた本作、ホタルさんのブログで未読と
気付き
、慌てて手に取った本です。先に「毒薬の輪舞」
読んでいて読む順が逆にはなりましたが特に問題ありませんでした。
さて、本作は実は凄い事やっている作品です。
でもそうとは思わせないように作者が敢えて軽く作った
と思われます。B級作品の着ぐるみをしているけど
とんでもないウルトラな仕掛け・アイデアを実現してます。
もっと大上段に構えればミステリの名作になり得る作品内容なのに
そうはしない所が泡坂氏の軽妙洒脱な作風、いや気質なような気がします。
作品の全体的な評価というよりその着ぐるみの中身だけを見て☆4つ
今月の一冊に推します。


ほしおさなえ 銀塩写真探偵 ☆☆

ほしおさんは古きよきモノを題材にとる事が多い作家で
他には活版印刷・和紙・古民家などの世界で物語を紡いでいます。
本作もその例に漏れず、銀塩写真(フィルム)を取り上げています。
ただ本作は最初こそフィルム写真の世界の妙味を紹介して
ましたが、途中から様相が変わりSFになってしまいます。
初めからSF作品なのかも知れませんが、読む側からみると
急に違うジャンルになったような違和感を覚えるのです。
そこがちょっとマイナスポイントかな、シリーズ展開も
意識されている作りですが、結局本作はこの一作だけの
単品作品に留まってしまっているのはその為かなと思うのです。


奥田英朗 ウランバーナの森 ☆☆☆

この作品紹介を読むと著者初の小説作品となってました。
デビュー作とは書かれていなかったし、文庫本刊行も
少し後からになっています。その辺りの事情は判りませんが
本作を読もうとしたのはクイズ出題の為で予備知識は
全くありませんでした。
そして読み始めたら何と
主人公はジョンレノンでした。(そうとは明言してないけど)
場所は軽井沢の別荘でここでジョンはひどい便秘を起こし
そして様々な精神的・肉体的な被害を受けながら過去の
亡霊との対決を経て自分との決着を付けるフィクションです。


鯨統一郎 金閣寺に密室 ☆☆☆

タイトルにある「密室」は「ひそかむろ」と読みます。
本作は「とんち探偵一休さん」の副題があり、
一休さん(子供時代)が探偵役になってます。
舞台は室町時代で足利家がブイブイ言わせてる頃となります。
ここで起きる密室殺人事件の謎を解くミステリ長編が
本作で鯨氏の初期の作品となっております。


鯨統一郎 とんち探偵一休さん 謎解き道中 ☆☆

前作の続編で登場人物が同じく一休・新右衛門・茜
3人で今回は京都から遥か関東は武蔵までを
旅する
間に起きる謎を解く連作短編集となってます。
短めの話が8話あり、読み応えが少々感じられない
一冊のような気がします。
前作同様「とんち探偵一休さん」が副題
本作の場合、これを省くとクイズにならないという
内情
があってこのタイトルで掲げています。

(実はそうではない事が後に判明・・)


島田荘司 夜は千の鈴を鳴らす ☆☆

島田荘司と言えば本格ミステリ界では
レジェンド扱い
される現役作家です。
初期に当たる作品は当たり外れが著しく
本作は時刻表トリックを絡めた極めて
スタンダードな不可能犯罪を提供していて
興趣は湧くのですが、その為の仕掛けや
トリックに期待はずれと無理を感じました。


岡本七緒 私立図書館・黄昏堂の奇跡 ☆☆

図書館司書が主人公でお仕事小説+ビブリアミステリ
を期待しましたが、その実はファンタジー
何でもアリか?を感じさせるものでした。
加えて物語の終わらせ方がしつこく長く、
スッキリさせながら余韻を残す鮮やかさとは
真逆な印象を受けます。必要な補足や後日談なのかも
知れませんがもう少し巧くまとめてくれよー